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先月のツアー・オブ・ジャパンで、「高揚」と「挫折」の両方を味わった富士山に再びやって参りました。
今期のJサイクルツアーで、最も豪華なメンバーが出場者リストに名を連ねていますが、宇都宮ブリッツェンの登りのエース長沼選手は決して万全とは言えないコンディションにあります。
そうは言っても、ルール上では「個人戦」のロードレースに於いては、選手交代という概念がありませんので、長沼選手はいつも通り準備をして、勝つためにスタートラインに立たなければなりません。
ヒルクライムレースでの勝利と、苦手なレースでも年間ポイントの累積を課せられている長沼選手にとっては、1年を通して手を(脚)を抜く暇がないのが現状です。
もしかすると、期待されているレースの多さでは、欧州の一流選手以上かもしれません。
正直、長沼選手と同世代の国内選手で、彼ほどに多くのものを背負って走っている選手はあまりいないと思います。
「この環境が長沼をより一層成長させるよ」
そんな励ましの言葉も今は何故か冷めた響きに聞こえてしまいます…
そこにレースがあるから走る、そこに山があるから上る。
現役を引退した人間からみると、本当に選手というのは尊敬すべき存在だと感じます。
彼らは良い意味で、野生を宿した戦う生き物です。
一年を通して、そんな彼らと一緒にいられることは、ある意味で幸せなのかもしれません。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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