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【ツール・ド・フランス2023 レースレポート:第16ステージ】“ザ・ヨナス・ヴィンゲゴー ショー”マイヨ・ジョーヌの方向性を示す山岳タイムトライアルでヴィンゲゴーが圧勝!タデイ・ポガチャルはよもやの1分38秒遅れに
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介ヨナス・ヴィンゲゴー
チームカーからヨナス・ヴィンゲゴーに檄を飛ばしていたユンボ・ヴィスマのスポーツディレクター、グリシャ・ニールマンは思いがけず飛び込んできた光景に目を疑った。マイヨ・ジョーヌの向こうに、最大のライバルであるUAEチームエミレーツのチームカーが見えたのだ。心の中で勝利を確信していたとはいえ、2分前にスタートした前走者にそこまで近づいているとは想像すらしていなかった。興奮のまま無線を手に取り、その先にいるマイヨ・ジョーヌに向かって叫んだ。
「お前が何者かを世界に示せ!」
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ツール・ド・フランス第3週の初日、第16ステージは22.4kmの個人タイムトライアル。山岳比重の高い今大会を象徴する起伏満ちたレイアウトを、マイヨ・ジョーヌで駆けたヴィンゲゴーが完全攻略。今大会1つ目となるステージ優勝は、ライバルであるタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)に1分38秒差をつける圧勝だった。
「今日はとても調子が良かった。今までのタイムトライアルの中でも最高の走りだよ。自分の走りが誇らしいし、勝ててとてもうれしい。こんなにうまくいくとは思っていなかったよ」(ヨナス・ヴィンゲゴー)
第2週後半からアルプス山脈を走っているプロトンは、同地で2回目の休息日を過ごして、新たな1週間に足を踏み入れた。その皮切りが、山岳での個人タイムトライアル。今大会唯一のタイムトライアルステージである。
その昔、結核の療養地として栄えたパシーを出発し、上りと下りを経て2級山岳のドマンシー坂へ。登坂距離2.5km、平均勾配9.4%、中腹で15%を超える区間があって、それからも10%級の勾配が続く。ここを上り終えても、フィニッシュまでの3.5kmは上り基調。ヴィクトル・ユーゴーが「アルプスの真珠」と呼んだコンブルーの街で走り終える。スタート・フィニッシュともにツールでは初登場の街である。
マイヨ・ジョーヌ争いにおける重要ステージを前に、現地では各選手のバイク選択に注目が集まっていた。ドマンシー坂が2016年大会第18ステージの個人タイムトライアルで採用された際は、クリストファー・フルームやトム・デュムランがTTバイクで走破(デュムランは今回の会場にも顔を出し、TTコースを試走している)。ただ、上位陣の中にはコース途中でノーマルバイクに乗り換えた選手も多く、今回もバイクチョイスが勝負のカギになる可能性があった。
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