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サイクル ロードレース コラム 2023年6月30日

大人気漫画『弱虫ペダル』渡辺航先生がツール・ド・フランスを語る!「(漫画より)現実の方がすごい!」

ツール・ド・フランス by J SPORTS 編集部
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大人気漫画『弱虫ペダル』の作者・渡辺航先生

大人気漫画『弱虫ペダル』の作者・渡辺航先生

大人気漫画『弱虫ペダル』の作者・渡辺航先生に、7月1日に開幕するツール・ド・フランスについてお話を伺いました。「弱虫ペダルで僕が描きたかったけど描けなかった部分とか、いろんな人生模様が詰まっていて、めちゃくちゃ面白い」と話す渡辺先生。初めて観戦するという方にもぜひ見て欲しい注目ポイントや注目選手から、思わず漫画を読み返したくなる創作活動への影響まで、たっぷりと語っていただきました。

サイクルロードレースの魅力

ーー弱虫ペダルを通じて、サイクルロードレースの魅力を世界中に発信し続けている渡辺先生が感じている、一番の《魅力》はどこですか?

マイヨ・ジョーヌと抱き合って喜ぶラポルト

ステージ勝利後に仲間と喜ぶラポルト

渡辺:調子が良いときは調子が良いし、調子が悪いときは悪いんだけど、調子が悪いのを乗り越えて勝利を掴むみたいな、人生の悲喜こもごもがレースの中でたくさん見られるという意味で、人生そのものを形にしたものが、ロードレースなんだろうなってすごく思うんですよね。アシストも勝利はほしいけれど、エースを勝たせることを優先するみたいなことって、自分たちの生活の中でもしばしばあります。レースを見ていると、エースのために、ジャージを守るためにこの選手は頑張っているんだといったことが見えてくる。その働きそのものがすごくリスペクトできるし、彼らの感情を予測するのも楽しい。いろんなシーンが自分の生きてきたエピソードと重なって、感情を揺さぶられるスポーツですね。

優勝した選手はもちろん大喜びするんだけど、後ろから来たアシストの選手と抱き合って「ありがとう!」って(優勝した選手が)言うんですよね。アシストの選手の支えがなければ優勝もできないし、そういう繋がりというか、絆っていうかね。だから僕は、ロードレースって本当は、日本人が大好きなスポーツなんだろうなと思ってます。

ーーツール・ド・フランスは渡辺先生にとってどんなレースですか?

毎年、夏が来たなって感じさせてくれるレースですね。春のクラシックレースからじわじわじわじわロードレースの熱が上がっていき、全員の調子が完全に上がった状態で、「誰が一番強いんだ?」ということが見られる場所、という感じですね。非常に楽しみにしてます。

無料動画

弱虫ペダル作者・渡辺航先生【ツール・ド・フランス インタビュー】~漫画より現実の方がすごい!~

ツール・ド・フランス 2023の見どころ

ーー今大会、渡辺先生が注目している見どころはどこですか?

僕が言わなくてもみんな言うと思うんですけど、タデイ・ポガチャル vs. ヨナス・ヴィンゲゴーの争い。去年もそういう(総合優勝争いの)構図になっていて、おそらく今年もそうなるであろうと。この2人のバトルはもちろん、それを取り巻くアシストたちの動きみたいなものもすごい楽しみにしています。

ーー去年の第11ステージでは、怪物級の強さを誇っていたポガチャルに対して、ヴィンゲゴーとログリッチ、ワウトが入れ替わり立ち替わりでアタックを仕掛け、ポガチャルを倒しました。あのようなステージをご覧になると、創作意欲も刺激されますか?

激しいバトルで観る者を魅了し続けたヴィンゲゴー(左)とポガチャル(右)

激しいバトルで観る者を魅了し続けたヴィンゲゴー(左)とポガチャル(右)

(去年の第11ステージのような戦いを)僕は正直、(読者には)見ないでほしいっていう気持ちもあるんですよね。あれを漫画で表現すると、「嘘だろ」とか「ちょっとやりすぎだよ」とかになっちゃうから……。だけど、本当にそういったことが起きるのが、ツール・ド・フランスだと僕は思ってる。僕は1対1のタイヤ差のゴールスプリントをよく描くけど、ツールの場合はそれが3人とか4人いて、みんながハンドルバーを投げてタイヤ差でフィニッシュすることがある。 だから「いやいや、現実の方がすごいんだよ」って言いたい。とは言いながらも、やっぱりまあ、最終的にはツールを観てほしいですね……複雑です。

ーー今季で引退を表明したアスタナ・カザクスタン チームのマーク・カヴェンディッシュが出場すれば、史上最多となるステージ35勝目も期待されます。その他、注目している選手はいますか?

カヴェンディッシュが出場してくれるとめちゃめちゃ楽しみですね。世界選手権も獲って、ツールでも現在最多タイとなる優勝記録数なので、その記録を越えて伝説になってほしいですね。あとは、トーマス・ピドコックとかも注目しています。彼もシクロクロスやマウンテンバイクをやっていて、マウンテンバイクでは東京オリンピックで優勝しています。彼のすごいところは、下りがとにかく速い。本当に信じられない速度で下って行くと思うので、注目して観てもらいたいですね。ピドコックの下りは、他の選手が全速力で下っていて、コーナーをゆっくり曲がらなきゃいけないところを、キュイーンって曲がって行くんで、かなりすごい速度感を感じられると思います。ゴールスプリントの楽しみもありますけど、レースが行われている最中に注目すべきポイントがたくさんやってくるので、飽きることなくレースが見られるんじゃないかと思ってます。

ーー渡辺先生もシクロクロスをやられると聞きました。現在では、シクロクロスやマウンテンバイク出身の選手が活躍していますね。

バイクコントロールっていう意味で言うと、ロードレースでは自転車に対して右と左の動きがメインになります。一方で、マウンテンバイクとかシクロクロスでは縦の動きが加わって三次元になるので、そういうバイクコントロールが実はロードレースにおいても意味があるというか、力になるということを彼らは証明しているんだと思います。三次元の動きっていうのは、小さい頃に身体で学習するのがおそらく一番早いと思うんですよね。大人になってからマウンテンバイクを始めてトップまで行った人っていうのは存在しないので、小さい頃から自転車の三次元の動きを理解しておくと、ロードレースに移行していく意味でも、そこを経験していることが非常に重要になるのだろうと思っています。

創作活動に与えるインスピレーション

ーー現役の選手で弱虫ペダルのキャラクターにしてみたい選手はいますか?

渡辺先生を魅了するアラフィリップ

渡辺先生を魅了するアラフィリップ

たくさんいすぎる感じではありますけど、ジュリアン・アラフィリップの鬼のようなアタックをし続ける感じとかは(描いてみたい)。「それ以上は無理だよな」って思ったところでもう一回アタックに行くみたいなところがすごい。ロードレースっていうのは、理想で言えば、一番前でペースを上げて、後ろの人がきつくなって脱落していってゴールするのが一番早いというか、パワーで勝つみたいな勝ち方なんだけど、調子の良いときのアラフィリップはそれをやってくれる選手。フェイスもイケメンですし、ああいうスター性を持つ選手はちょっと描いてみたいですね。髭はちょっと無理なんですけど(笑)

ーー実際に観たツール・ド・フランスのレース展開からインスピレーションを得て描かれたシーンもありますか?

もちろん小さい所作から、大きいところまですごいあります。補給食を取りながらボトルを咥えているところも、プロ選手がやっているところを見て「それ描きたい!」みたいな。ボトルの持ち方一つ見ても、選手によって特徴があります。あのような小さい所作が結構好きで、チームカーと話しながら行う選手のアクションとかもそうですね。ツールはトップのレースなので、トップのレースの選手の動きとか、空気感みたいなものを常に弱虫ペダルには描いていきたいなと思っています。小さなことなんだけど、先頭の選手が肘で後ろの選手に合図を送って、後ろの選手が前に出てくるみたいなこともそうですし、彼等が共通認識として持っている価値観みたいな、選手同士に流れる空気の部分っていうのは、僕がいつも追いかけているところですね。レースの緊迫感とか駆け引きみたいなものは漫画の中に生かそうと思って見ていますし、自分自身が痺れたシーンは絶対に参考にしたいとは思います。具体的にこのシーンを使ったということは難しいですが、いろいろな形で作品に反映されています。

ファンへのメッセージ

ーー多忙を極める中で、ツール・ド・フランスを毎年どのように観戦してているのですか?

夜は次の日の作画があるので寝ないといけないんですけど、スタートからゴールまで観る日が確実に1日だけありまして、それは番組ゲストに呼んでいただく日です。それはもう完全にスケジュールを取っているので、この日はもう最初から最後まで全身で楽しんでいます。その他は仕事をしながら観るので、申し訳ないですけど、どうしても画面から目を離すことはしばしばあります。 実況・解説の盛り上がりをヒントにして、時々テレビを眺めたりしています。風景も美しいですし、目の癒しにもなります。(現地に)行ってみたい気持ちが膨れ上がって大変ですが。

実は、今年の夏は後半からツール・ド・フランスの取材が入っております。自転車を持っていけるという話なので、準備をしているところでございます。取材は移動も含めて10日間、15ステージくらいから観られる予定になっています。前回、取材に行ったのが2010年とかなので、どんな風に変わっているのかすごい興味があるし、実際に自転車持って行って現地の道を走ってみるっていうのが、もう一つの目標だったりしますね。

ーー将来は弱虫ペダルを見て自転車を始めた選手が、いつかツール・ド・フランスを走るようになったら嬉しいですね。

めちゃめちゃ楽しみですね。別府史之さんが曽田先生のシャカリキを読んでたんだというインタビューの記事を読んで「いつかそういう風にならないかな」って僕も思っています。ワールドツアーでツール・ド・フランスに出られるような選手が「小さい頃に弱虫メダルを読んでました」と言ってくれたら良いなって、いつも思っています。

ーー最後に、弱虫ペダルファンのみなさんにメッセージをお願いします。

弱虫ペダルでロードレースを知った人も、弱虫ペダルを読んで面白かったっていう人も、世界中の人が見る夏の一大イベント、ツール・ド・フランスをぜひ見てください。弱虫ペダルで僕が描きたかったけど描けなかった部分とか、いろんな人生模様が詰まっていて、めちゃくちゃ面白いです。ぜひぜひ見てほしいと思います。そして、弱虫ペダルも読んで、楽しんでいただけたら嬉しく思います。

文:J SPORTS編集部

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