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【Cycle*2022 アークティックレース・オブ・ノルウェー:レビュー】9年ぶりに地元王者が誕生! アンドレアス・レックネスンが最終日に会心の逃げで大逆転「僕にとってのサイクリングの原点で勝てるなんて夢のよう」
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介「なぜか逃げメンバーに関する情報が入ってこなかったんだ。レックネスンが逃げていたことすら僕は知らなかった。それがラジオツールの問題だったのか、チーム内の連係ミスだったのかはこれから検証しないといけない。いずれにしても、僕もチームメートも、何をすべきか分からない状態に陥っていたんだ」(ヴィクトル・ラフェ)
大慌てで追撃態勢に入ったのが、残り2周を切ってからのこと。総合タイム差9秒で3位につけていたユーゴ・ウル(イスラエル・プレミアテック)らがアタックし、第1ステージで勝ったザングルらが同調。その1つ後ろのグループでラフェが前線合流を目指す。
ただ、一度発生した混乱は最後まで正常化することはなかった。残り5kmで第1追走グループからニコラ・コンチ(アルペシン・ドゥクーニンク)が猛然と飛び出して、45秒ほどあったタイム差を16秒まで縮めたが、それ以上迫ることはできなかった。まごつく追走メンバーを尻目に、レックネスンはひとりでフィニッシュへと到達。その頃には個人総合トップに立つ可能性があることは耳にしていたのだろう。最後まで踏み切って、フィニッシュラインを通過してからようやくウイニングセレブレーションを決めたのだった。
アンドレアス・レックネスン(チーム ディーエスエム)
「周回コースに入ってからは、大歓声を独り占めできただけで満足だった。コース脇には友人や家族がいたし、僕の名前を呼んでくれたファンもいた。彼らのために全力で走ったよ。それに、追いついてくると思っていた集団がいつまでも来なかったので、何かが起こっていると悟ったんだ。そうしたら、チームメートが無線で“みんな苦しんでいるから逃げ続けろ”って。一気にモチベーションが高まったね」(レックネスン)
前日にはクイーンステージで26秒遅れ。秒差の争いとなるのが慣例のこの大会においては“大敗”で、メンタルにきてしまっていた。走る気力がなくなっていたが、首脳陣の励ましもあって“渋々”出走していたのだという。「チームから誰かが行かないとといけなかったから」乗った逃げで、会心のステージ優勝。そして、大・大・大逆転でアークティックレース・オブ・ノルウェー第9代チャンピオンに輝いた。
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