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【Cycle*2022 アークティックレース・オブ・ノルウェー:レビュー】9年ぶりに地元王者が誕生! アンドレアス・レックネスンが最終日に会心の逃げで大逆転「僕にとってのサイクリングの原点で勝てるなんて夢のよう」
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介大自然の中を走り抜ける
1級山岳スカルストゥッグ・サミットを上った第3ステージでは、ヴィクトル・ラフェが勝ってチーム内でリーダージャージが移動。昨年のこの大会ではヤングライダー賞を獲り、個人総合でも3位。今年は個人総合優勝候補の一角と目されていただけに、ここで勝負あったかに思われた。
もっとも、第3ステージを終えてノルウェー勢最上位の個人総合4位につけていたスヴェンエリック・ビーストルム(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が体調を崩し、大会最終日に走れなくなったこともラフェ、そしてコフィディスに追い風となる要素...のはずだった。
ただ、勝負は終わるまで分からないものである。人々の予想をはるかに上回る展開が、最後に待っていた。
短期決戦のステージレースらしく、最終日に捨て身のアタックが各所で起こった。それなのに、スタートから60kmを過ぎてようやく決まった逃げは、たったの3人。すぐにリーダーチームのコフィディスがメイン集団のコントロールを始め、個人総合2位のケヴィン・ヴォークラン擁するチーム アルケア・サムシックも加勢。セオリー通りであれば先頭の3人は形勢的に不利なはずだった。何よりも、逃げに乗り込んだレックネスン自身がそれを一番分かっていた。
「正直、スポンサーアピールのための逃げになったと感じていたよ。チームとしては誰かを先頭に送り出したいと思っていたのだけれど、3人しか前に行かなかったのは想定外だった。その瞬間から、僕の目標はトロンハイムの周回コースで最低1周逃げ続けることになったんだ」(レックネスン)
トロンハイムの市街地サーキットに入ってレックネスンは逃げグループを崩した。上りを利用してアタックすると、一緒に逃げてきた2人はあっけなく後退。そこから始まった独走は、目標としていた1周を超え、2周、3周と続いた。
大方の見立てとは対照的に、メイン集団はレックネスンの逃げに手を焼いていた。タイム差が思ったように縮まらず、やがてコフィディスもチーム アルケア・サムシックもアシスト陣のペーシングが機能しなくなっていった。何より、リーダーチームであるコフィディスにはトラブルが発生していたのである。
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