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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第15ステージ】荒ぶる山の脚を取り戻したジュリオ・チッコーネが独走で山頂勝利「僕にとって新しいスタートが切れた。新しいキャリアの始まりだ」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか山頂への道のりは、新生ジュリオ・チッコーネへの道のりだった。孤独に追いかけてくるブイトラゴとの距離は、着実に引き離していった。ラスト1kmのアーチをくぐり抜けた瞬間に、思わず力強いガッツポーズが飛び出した。
もちろん、フィニッシュライン直前には、サングラスを投げ捨てることも忘れなかった。3年前は、土砂降りの雨の中、高ぶる感情に任せての行為だったが、今回はまるで喜びの儀式のように、アイウェアは天高く放り上げられた。
歓声を浴びながら両手をあげてフィニッシュするチッコーネ
「いつだってなにかを再証明するのは、難しいこと。でも、今日は、僕にとって新しいスタートが切れた。新しいキャリアの始まりだ。ツールのマイヨ・ジョーヌよりも、初めてのジロ勝利よりも、美しく価値ある勝利だよ」(チッコーネ)
フアン・ロペスが10日間のマリア・ローザ生活を終えた翌日、トレック・セガフレードの同僚であり、仲良しの練習相手であるチッコーネが、3年ぶり3度目のジロ区間勝利を手に入れた。今大会3人目のイタリア人勝利であり、2日連続で、総合争いから脱落した選手がリベンジを成功させた。
ブイトラゴは1分31秒遅れで、ペドレロは2分19秒遅れで山頂へたどり着いた。カーシーは3分09秒後の4位。あとわずかのところで勝利を逃したのは「悔しい」が、自分がいい感触を取り戻しつつあることは「嬉しい」と振り返った。
時には逃げの残党と共闘しつつ、しかし大部分は孤独に走り続けたマルタンは、区間10位に食い込んだ。「前日は千切れて後方ひとりだったけど、今日は飛び出して前にひとりだったから気分はいい」と語ったように、なによりマリア・ローザ集団に1分42秒先行。総合10位へと再浮上を成功させた。
総合ひと桁代の選手は、つまりマルタンから1分42秒遅れの集団で、揃ってジロ2週目の最終日を終えた。序盤に落車したカラパスも、何の問題もなく、今大会2度目のマリア・ローザ表彰式に臨んだ。
「昨日のレースのせいで、疲労感が充満していた。それにたくさんのチームが逃げに選手を送り込んだから、おかげで総合系の選手は、少し落ち着いてレースをすることができた。そしてこの疲労こそが、最終週の戦いを、大きく左右する要素になるだろうね」(カラパス)
逃げたボウマンが山岳賞首位を取り戻し、スタート直後には元気にアタックを試み、最後はグルペットでのんびり帰ってきたアルノー・デマールは、現役最多34枚目のマリア・チクラミーノを受け取った。158選手がステージを走り切り、ジロ一行は、待ちに待った今大会最後の休息日を迎えた。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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