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【ジロ・デ・イタリア2022 レースレポート:第6ステージ】フランス人としての大会史上最多勝利を更新したデマール「本当にギリギリだったね。今日は僕に勝利が微笑んだ」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「あの時点ではまだ僕は自分のスピードに乗り切れていなかった。だから瞬間的にヤコポの後輪から出ようとしたけれど、改めてほんの少し仕切り直した。カヴが左側を閉ざしてくるのを感じたから、右側に出た。そしたらユワンも同じく右に出たから、僕はさらに右へと出なきゃならなかった」(デマール)
いわゆるトレインを使って徐々にトップスピードへと上げていくタイプであり、普段なら発射台の背後からラスト200mで飛び出すと、まっすぐにフィニッシュラインを目指すデマールが、この日ばかりは左から右へと器用に回り込んだ。しかもユアンの後輪に接触しそうになりつつ、「初日のユアンのようなミスを犯してはならない」と、寸前で交わす明晰さとハンドル捌きも見せつけた。
僅差でデマールが勝利した
「ラスト100mでぶっ放つために体力を振り絞らなきゃならなかった。僕にとっては距離が短すぎるから、限界ラインぎりぎりだと分かっていたんだ。飛び出した瞬間、自分がすごく強いスプリントを切れていると感じた。最終的には、ハンドル投げが、違いを生んだね」(デマール)
カヴは残り50mで失速し、自分の思い通りのタイミングでスプリントが切れたと言うユアンは、「ライン上で負けた」。フォトフィニッシュの結果、とてつもない僅差での敗北だった。
ギルマイは今大会6日間で4度目のトップ5入り(4位)。いまだ勝てないながらも、初出場グランツールで凄まじいポテンシャルを改めて示した。またフェルナンド・ガビリアは、走行中にケース・ボルと危険な接触を起こしたとして、集団の最下位(152位)への降格処分を下された。
絶好調時はまとめて連勝するタイプのデマールにとって、ジロ全体ではステージ通算7勝目。偉大なるジャック・アンクティルとベルナール・イノーを抜き、フランス人としては大会史上最多勝利を更新した。当然ながらポイント賞では2位ギルマイに53ポイント差をつけ、マイヨ・チクラミーノをしっかりと着込んだ。
奇妙なほどにゆったりとした1日の、最終的な平均時速は38.076kmだった。つまり192kmのステージを、プロトンは約5時間かけて走り切った。開催委員会が前もって予測していた最も遅いフィニッシュタイムよりも、さらに30分も遅かった。
当然ながら、山岳賞首位&総合2位ケムナがボーナスタイム1秒収集で38秒差に詰め寄った以外、総合上位に大きな変化はなかった。おかげでフアン・ロペスはマリア・ローザ姿を心ゆくまで楽しめたし、この先に向けて体力も温存できたはずだ。
「明日はまるで違う1日になるだろう。でもマリア・ローザを守るために200%の力を尽くす。絶対に諦めない」(ロペス)
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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