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【Cycle*2022 ティレーノ~アドリアティコ:レビュー】走るたびに強くなり、走るたびに勝つ。2年連続大会制覇のポガチャル「今後も新しい挑戦のつもりで走っていく」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかレース最終盤に超級カルペーニャを2回よじ登るこの日、シモンズは山岳ポイント収集で緑ジャージを確保し、「エヴェネプールのために働く」と宣言していたアラフィリップは、逃げに乗った。ところが世界チャンピオンは、前待ち作戦を発動するどころか、早々に後方へと呼び戻されることになる。UAEの刻むテンポに苦しみ、超級の1回目の登りで、エヴェネプールが遅れ始めてしまったからだ。
レース後に子どもを抱き抱えるヴィンゲゴー
神童が後退していく一方で、32歳ミケル・ランダは、下りでも、平地でも、2回目の登坂でも、強烈な揺さぶりをかけた。元ジロ総合3位の猛攻に、ただ昨ツールのトップ2、ポガチャルとヴィンゲゴーだけが背中に張り付いた。ブエルタ総合2位×2回のエンリク・マスも後に続いた。一昨秋にポガチャルと共にツール表彰台に上がったポートも、粘り強く追いついた。稀代の山岳王マルコ・パンターニが愛した山は、すでにグランツールで実力を証明してきた数少ない強豪だけを、あぶり出した。
最後の1人に選び出されたのは、やはりポガチャルだった。残り16km。ランダの加速を、まるで発射台代わりに飛び出すと、いまだ雪の残る山頂へ向かって独走を開始した。
「チームが素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、最後の山に入った時、脚の調子は最高だった。だから自分のペースで山頂まで行こうと考えたんだ。全力を尽くした。暖かさを保つためにもね……だってすごく寒かったから」(ポガチャル)
後方のライバルたちは追走の足並みが揃わなかった。ヴィンゲゴーとランダはいがみ合い、マスは下りで落車。ちょうど1週間ぶりの逃避行に乗り出したポガチャルは、悠々と、着々と、ただ差を広げていった。
最終的には区間2位以下に1分03秒差をつけて、ポガチャルは今大会2つ目のステージ勝利をつかみ取った。最終ステージでは、前夜に願ったようにチームメートのパスカル・アッカーマンが両手を上げることはなかったけれど――熾烈な最終スプリントはフィル・バウハウスがもぎ取った――、アドリア海岸で、2年連続のティレーノ〜アドリアティコ制覇を楽しんだ。
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