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サイクル ロードレース コラム 2022年3月7日

【Cycle*2022 ストラーデ・ビアンケ:レビュー】50kmもの独走を成功させたポガチャルが空前絶後の快挙を達成「もはや後戻りはできなかった」

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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残り19km、10番目の未舗装セクターでは、アスグリーンが単独の追走に切り替えた。さらには今レース最後の白い道で、急坂を利用してバルベルデが加速すると、残り11kmでアスグリーンと合流。つまりリエージュ4勝+ツール・デ・フランドル1勝=モニュメント計5勝の2人が、リエージュ1勝+イル・ロンバルディア1勝のポガチャルを追いかけた。

「後ろをしょっちゅう振り返っては、他の選手が追いついてこないか確かめた。本当に緊迫していた。最終盤はエネルギーがどんどん低下していって、なんとか最後まで生き残った」(ポガチャル)

ポガチャルは補給をこまめに取ることを忘れなかったし、サドルの上では幾度もストレッチを繰り返した。集中力を切らさず、急カーブも冷静に対処した。残り1km、シエナの旧市街の麓にたどり着いた時、いまだ55秒もの余裕を有していた。それでも最大16%の坂道で、7度、ポガチャルは後ろを振り向いた。

ひどく大胆に、しかし用心深く、ポガチャルは栄光へとたどり着いた。大好きでたまらないというストラーデ・ビアンケを、4度目の挑戦でついに我がものとした。

ちなみに今年で開催16回目と、歴史の浅いクラシックで、50kmもの独走が成功したのは初めて。これまでの最長記録は第1回大会の20kmで、過去3度大会を制し、しかもポガチャルがアタックを打った第8ゾーンに自らの名を冠するファビアン・カンチェッラーラでさえ、パリ〜ルーベの50km爆走勝利はあるものの……ストラーデ・ビアンケでは12kmの独走勝利が最高だった。またグランツール覇者が、ストラーデ・ビアンケの勝利者リストに名を連ねるのも、大会史上初。つまり史上2番目に若いツール覇者だとか、エディ・メルクスに次ぐツールとモニュメント同年制覇だとか、どうしても自転車界は過去の偉人と比べがちではあるけれど、この日に限ってはポガチャルは空前絶後の快挙を成し遂げた。

レース後にポガチャルと抱擁するバルベルデ

レース後にポガチャルと抱擁するバルベルデ

2位には37秒差でバルベルデが飛び込んだ。来る4月25日で42歳になる大ベテランは、ヨープ・ズートメルクが40歳で打ち立てた「最年長クラシック覇者」には届かなかった。しかしピノ・チェラミが保持していた「最年長クラシック表彰台」は更新。もっとも本人にとっては「ポガチャルに次ぐ2位は勝利に等しい」成功であり、7度目にして人生最後の白い道巡りを、笑顔で締めくくった。

46秒遅れの3位アスグリーンもやはり、「将来の勝利に向けた第一歩」と前向きに成績をとらえた。また最終盤のアタックで飛び出したアッティラ・ヴァルテルとペリョ・ビルバオが、それぞれ4位と5位に食い込んだ。

そしてストラーデ・ビアンケの主役たちは、少々慌ただしくティレーノ〜アドリアティコへと走り出す。例年ならば3日間の休息の後に「2つの海のレース」は開幕するが、2022年はわずか1日しか体を休める余裕はない。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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