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サイクル ロードレース コラム 2022年2月28日

【Cycle*2022 UAEツアー:レビュー】チーム本拠でタイトル獲得のビッグミッション達成。ポガチャルが個人総合2連覇で最高のシーズンイン

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ラファウ・マイカにひかれるポガチャル

最終ステージも制したポガチャル(写真中央)

もっとも、このチームの戦力を語るうえで、これまではポガチャルを支える山岳アシストの手薄さを指摘する声が大なり小なり聞かれていた。しかし、今大会で貢献度の高かったベネットやアルメイダがチームに加わったことで、その問題も解消されそうだ。特に、この大会はチームにとってツールと並ぶ最重要レースとあり、他チームとは比較にならないほどのベスト布陣だった。その意味では、先々のビッグレースでも彼らがポガチャルを支える役目を担うものと捉えて良いだろう。

「このチームには山岳ステージでレースをコントロールできるだけの十分な力があると思っている」とポガチャル。ツールとブエルタ・ア・エスパーニャのグランツール2冠を目指す今年、これ以上ないシーズンのスタートをUAEで成功させた。続くシナリオは、ストラーデ・ビアンケ、ティレーノ~アドリアティコ、ミラノ~サンレモとなる。

何も、主役はポガチャルだけではない。中東レース名物のスプリントでは、アルペシン・フェニックスが送り込んだヤスパー・フィリプセンがステージ2勝。大会序盤2日間はリーダージャージを着て、最終的にはポイント賞を文句なしで獲得。かつてはUAEチームエミレーツで2年間走っていたことから、「いつも出場したいと思っているし、個人的には結果を求めたいレースなんだ」。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、第2ステージでチームごと撤退。今年はナンバーワンスプリンターの称号をしっかりゲットして、リベンジを果たしている。

UAEツアーでは砂漠での強風がレースの流れを左右することが多いが、奇跡的に今年はそんな局面がなかった。一時的に集団が割れることはあっても、個人総合やステージ争いに影響するほどまでは至らず。一方で、第6ステージではスプリント勝負との大方の予想を覆して5選手が大逃げに成功。勝ったガズプロム・ルスヴェロのマティアス・ヴァチェクは、これまでペーター・サガンが保持していた20歳43日を上回る、19歳258日でUCIワールドツアー史上最年少優勝者の記録を更新した。

新型コロナウイルスによる世界的な感染拡大は今なお続き、さらにはロシアによるウクライナ侵攻の話題も世間をにぎわせている。心配なニュースが後を絶たないが、そんな中でもあらゆる対策を施したうえでレースシーンは進んでいく。本記執筆時点で今大会とオンループ・ヘットニュースブラッドを終えたUCIワールドツアーは、3月からイタリア・フランス・スペインと戦いの舞台を広げていく。そこにはどんなドラマが待ち受けているのだろうか。楽しみはまだまだこれからである。

文:福光俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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