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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 レースレポート:第13ステージ】これぞドゥクーニンク・クイックステップの真骨頂!咄嗟のエース変更でセネシャルがステージ勝利「僕らは冷静だった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「残り3.2kmのカーブを前で入らなきゃならないことは分かっていた。昨夜も言われたし、今朝も改めて指示された。そうすれば、後は、自分たちのペースに持ち込めるから、と」(ファンレルベルフ)
肝心の3.2kmのカーブは、ウルフパック4人衆が、狙い通り先頭で曲がった。ところが先頭のヨセフ・チェルニーがあまりにもハイペースを刻んだものだから、カーブを抜け出した先で、肝心のエースは脱落気味。そもそも4両列車にぴたりしがみついていたのは、4年前までドゥクーニンク隊員だったマッテオ・トレンティンだけで、その背後には空白が生まれた。
チェルニーが引き終わる残り2kmまでに、しかも3つのロータリー&カーブが立て続けに襲いかかったものだから、分断を埋める暇などなかった。続いてゼネク・スティバルが牽引を始めた時には、ドゥクーニンクにはもはや10人ほどのライバルしか残っていなかった。相変わらずトレンティンの背後には穴があったし、総合勢はまとめて後方へと吹き飛ばされていた。ただベルナルだけが、トーマス・ピドコックに連れられ前を急いだ。
残り1.5kmだった。脇目も振らず先頭を突進していたスティバル、ファンレルベルフ、セネシャルの3人に、無線連絡が入った。ついに力尽きたヤコブセンからだった。
トレンティンとの一騎打
「僕は100%のモチベーションで、これまでファビオのために働いてきた。彼がリーダーだからではなくて、友達だからなんだ。そんなファビオから、『俺はもうヘトヘトだ。フロリアン、行け、君のチャンスを試せ。全力だ!』と無線で声をかけられた」(セネシャル)
みんながみんなのために働く。これぞドゥクーニンク・クイックステップの真骨頂。だからこそ今季、すでに異なる15選手で、勝利を上げてきたのだ。この日もセネシャルにエース役が切り替わると、残された3人は早急に頭を切り替えた。新たな作戦は待って待って待つこと。できる限りフィニッシュ直前まで高速で牽引し続け、他選手の追い上げを許さぬこと。
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