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【ジロ・デ・イタリア2021 レースレポート:第21ステージ】ツール・ド・フランスの頂点に立ったコロンビアの若き至宝が復活の総合優勝!エガン・ベルナル「失ってしまったなにかを再び見つけられた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかそして、この日最後に出走台から走り出していったエガン・ベルナルは、マリア・ローザでフィニッシュラインへと帰ってきた。もちろん「ミスをしないよう、コーナーでジロを失ってしまわぬよう」、序盤約30kmは慎重に走った。そして最後のカーブを曲がり、残り約250mで最終ストレートにはいると、両手を大きく広げた。美しき記念写真と共に、3週間の戦いを締めくくった。
「これが僕にとっては2度目のグランツール優勝だ。冷静なように見えるかもしれないけれど、僕の内側では、幸せの感情が爆発している」(ベルナル)
2019年にコロンビア人として初めてツール・ド・フランスを制し、2021年には初出場ジロ・デ・イタリアで王座に上り詰めた。24歳の若者は、第9ステージでは、生まれて初めて「涙」のグランツール区間優勝も手に入れた。もちろんマリア・ローザと共に、新人賞マリア・ビアンカも持ち帰った。
トロフィーにキスをするベルナル
「(2020年夏以降抱えた)背中の問題のせいで、思うような走りができずに来た。自分の中に疑念を抱えていた。果たして自分がかつてのレベルに戻ることができるのか、勝利への意欲を取り戻せるだろうか、とね。だから今回ジロで、僕が失ってしまったなにかを再び見つけられたと思ってる」(ベルナル)
また所属イネオス・グレナディアーズにとっては、2年連続3度目のジロ制覇。チーム総合成績でも堂々たる首位に立つ。
184人でトリノを走り出したジロ一行は、143人でミラノへとたどり着いた。相次ぐ落車や悪天候で、誰にとっても決して簡単な3週間ではなかった。出走選手8人全員が完走を果たしたのは、全23チーム中、アンテルマルシェ・ワンティゴベール・マテリオとバルディアーニCSFファイザネだけ。コフィディスは4人で、ロット・スーダルはたったの2人で大会を終えた。
ペーター・サガンは7枚のマイヨ・ヴェールに続き、初めてのマリア・チクラミーノを獲得した。ジョフリー・ブシャールは、26歳で少々遅めのプロ入りを果たしてからわずか3年目で、ブエルタ山岳賞に続き、ジロ山岳賞も手に入れてしまった。連日逃げで魅せた2人、ドリース・デボントは中間ポイント賞と総合敢闘賞を、シモン・ペローは計783kmで大逃げフーガ賞を持ち帰った。
全21日間で逃げ切り10回、グランツール区間初優勝13人という、新鮮なサプライズに満ちたジロ・デ・イタリアはまた、表彰台の3人全員が区間優勝を上げ、実力者たちの競演を堪能できた大会でもあった。そのベルナルはブエルタで3大ツール全制覇を目指し、カルーゾは東京五輪代表入りを視野に入れる。そしてイェーツは……4週間後、ツール・ド・フランスのスタートラインに立つ予定だ!
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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