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【ジロ・デ・イタリア2021 レースレポート:第2ステージ】同郷の亡き友に捧ぐ《W》の文字。初勝利のティム・メルリール「彼にこの勝利を捧げることが出来て、心から嬉しく思う」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかもしもの事態を避けるため、その後もガンナとイネオスの仲間たちは最前列に留まった。落車分断やメカトラブルに対してタイム救済措置が採用されるラスト3kmどころか、急カーブの連続が終わるラスト1km間際まで、ピンクのジャージが総合エースを率いる姿は目撃された。おかげでベルナルは総合勢としては最上位の区間16位で、安全に1日を終えている。
スプリンターチームの覇権争いをリードし、残り1kmのアーチを先頭でくぐったのはコフィディスとUAEチームエミレーツだった。つまりジロ区間通算5勝エリア・ヴィヴィアーニにとっては、「残り700mには最前列へ出ていること」との指示通り。アルペシン・フェニックス発射台はその背後につけ、メルリールにとってもまた理想的なポジションだった。
ティム・メルリール
「遠くから飛び出した。まだ250m残っていた。でも最終的には十分だったね」(メルリール)
ヴィヴィアーニの背後から左側にスプリントを切ったメルリールは、自らの後輪に飛び乗った欧州王者ジャコモ・ニッツォーロの逆転も、反応がワンテンポ遅れてしまったヴィヴィアーニの追随も許さなかった。地元ベルギーでワンデー3勝と好調な春を過ごしてきた勢いそのままに、シクロクロススペシャリストがピュアスプリンターたちを蹴散らした。
ベルギーにとって感慨深い1日となったに違いない。フィニッシュ地ノヴァラは、1968年にベルギーが誇る史上最強エディ・メルクスが、生まれて初めてグランツールのリーダージャージを身にまとった土地だ。なによりこの5月9日は、ベルギー人ワウテル・ウェイラントが、レース中に命を落としてちょうど10年目。ジロの永久欠番「108」に想いを馳せ、フィニッシュラインを越えながら、メルリールは両手で「W」の文字を描いた。
「僕はベルギー人だし、なにより同じトレーニンググループにいたから、ウェイラントのことは知っていた。それに彼はスプリンターだし、僕もスプリンターだしね。小さな頃にはよく練習で一緒になった。10年前のあの日は、僕はトレーニングキャンプ中だった。すごく悲しい1日だった。だから彼にこの勝利を捧げることが出来て、心から嬉しく思う」(メルリール)
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