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その第19ステージだが、予定されていたガヴィア峠とステルヴィオ峠の通過は、残念ながら中止された。雪が降り続いていること、なにより標高2758mのチーマ・コッピ(大会最高標高地点)は日中の最高気温がマイナス10度程度と予報されていることで、迂回は必至となった。ジロ一行は代わりに、トナーレ峠(2級、標高1883m、登坂距離8.3km、平均勾配7.5%、最大勾配10%)とカストリン峠(1級、標高1706m、登坂距離8.4km、平均勾配9.5%、最大勾配13%)へ上り、予定通りにヴァル・マルテッロの山頂フィニッシュで締めくくられる。同時にステージ距離は138km→160kmに延長された。
この一報を聞いて、カヴを筆頭とするグルペット候補たちは、ほっと胸をなでおろしていることだろう。青い山岳ジャージを守りたいステファノ・ピラッジィ――この日は5分もスタート時間に遅れてしまったそうだが!――にとっても、実に幸いだった。超難関2峠の入れ替えで、ライバルたちに横取りされるかもしれないポイントが、大幅に減ったのだから(ガヴィア+ステルヴィオの1位通過は36pt→トナーレ+カストリンの1位通過は24pt)。何より山の難度が下がったことで、またしても……自らポイント収集に走り出せるかもしれない!
一方で、わずか2秒差で、カルロスアルベルト・ベタンクールから念願の新人賞マリア・ビアンカを奪い取ったラファル・マイカは、ちょっとがっかりしているかもしれない。「金曜日は長い上りばかりだから、ボクの方に有利だと思うんだ」と語っていたけれど……。1年前にトーマス・デヘントが逆転表彰台のきっかけをつかんだ、ステルヴィオ山頂へと続く全長21kmの長い長い上りは、今年は白い雪に埋もれたまま。ばら色の勇者たちの挑戦を受け入れることはない。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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