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モンサンミッシェルの堤防道路を通るプロトンの姿は2013年大会が見納め(写真は1990年大会)
フランスをくまなく周ってきたツール・ド・フランスだが、2012年時点で、未踏破の県が2つあった。コルシカ島のコルス・デュ・シュド県とオート・コルス県だ。
だがついに、最後の2つがプロトンによって征服されることになった。しかも2013年、栄えある100回記念大会で。開幕から3日間かけてポルト=ヴェッキオ(コルス・デュ・シュド県)、バスティア(オート・コルス県)、アジャクシオ(コルス・デュ・シュド県)、カルヴィ(オート・コルス県)を巡っていく。
開幕が初物なら、閉幕もまたしかり。最終日は開始時間が後倒しとなり、シャンゼリゼの凱旋レースは昼間から夜へと様相を一変させる。日中とは異なり、妖しい魅力を放つパリの交差点で、人々は一味違うツールの顔を発見することになるはずだ。
本大会のもうひとつのフィーチャーは、第18ステージにラルプデュエズを2度上る点。1回目は168km地点。2回目は、フィニッシュ地点。1979年大会で、この山を2日に分けて2度上っているが、同一ステージ内での登頂は初となる。2010年大会で、ピレネー導入100年記念の目玉としてトゥールマレ峠を2回走破したときも、休息日を挟み2日間に分けられた。
また行程中、見納めとなるのが、世界文化遺産に登録されているモン・サン=ミシェルだ。サン・マロ湾に小高く盛り上がる姿は凛として、巡礼の地としてもあがめられてきた。しかし砂の堆積が進み、浮島の景観が損なわれつつあった。そこで潮の流れを健全にするため、駐車場の撤去など大々的な工事が進行中。現在の堤防道路は2014年には撤去されるため、2013年の第11ステージのフィニッシュコースをそのまま再現することは今後不可能となる。
2013年の記念大会は、3週間の間、国外に出ることなく、フランス本土だけで終結し、ツールは原点に立ち返る。1903年、世間をあっと言わせてやろうと息巻いた主催者たちも、よもやこのレースが100回以上も脈々と続き、かくも国際的イベントになるとは、夢にも思わなかったことだろう。
Naco
1999年末、ホームページを立ち上げ、趣味だった自転車ロードレースの情報記事を掲載しはじめる。2000年夏からは、ツール・ド・フランスの現地観戦レポートを開始。同サイトには、ロードレース・ファンたちが数多く訪れている。現在、フリーランスのジャーナリストとして自転車専門誌に記事を寄稿している。
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