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サイクル ロードレース コラム 2014年5月14日

ジロ・デ・イタリア2014 第4ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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すなわち、キッテル以外の選手に、区間勝利を手にするチャンスがやって来た。だから、マリア・ローザを守りたいマシューズや、この先にマリア・ローザが欲しい総合争いの強豪たちが、タイム計測後に静かに隊列を離れると、多くのスプリンターチームが一気に前方へと詰め掛けた。しかも、大多数にとって好都合なことに、ナセル・ブアニが前方から姿を消していた。パリ〜ニースで2年連続区間勝利をさらったフレンチスプリンターは、ラスト15km地点のメカトラブルで、足止めを喰らったのだ。チームメートの協力と、チームカーの風除けとで、ブアニは必死の追走を行った。長い長い努力の果てに、ゴール前3.5km、なんとか集団前方に復帰した。

そして、恐れていた、落車が起こった。ゴール前2.5km、右への大きなカーブで、数選手が地面へと倒れ込んだ。まるでスケートリンクのように、選手や自転車が路面を滑った。いくつものスプリント列車が分断した。難を逃れ、順調に先を続けたのは、ジャイアントの4人とトレックファクトリーレーシングの2人だけ!

「最後の周回はひどく滑りやすかった。ボク自身も、2、3度、滑って転びそうになった。目の前で大落車が起こったときは、左になんとか大きく避けて、落車は免れた。幸いにも、ボクの前にはチームメートが残っていた。その彼の助けを借りて、もう1度、前に追いつくこうと試みたんだ。ラスト1km地点でも、まだ、40〜50mは、埋めなきゃならない差が残っていた」(ブアニ)

しつこく追いかけてきた邪魔者を、振り払おうと、ジャイアントはとてつもなく長いスプリントを試みた。普段はキッテルの最終発射台を務め、3大ツール全てで勝利に導いてきたトム・フェーレルスが、ゴール前600mで飛び出したのだ。

「どうせ、失うものなんて、何もなかったんだ。パンクもした。全力で追走もした。体力もほとんど使い切った。だからここで負けようが、ボクにとっては、恥じるべきことなんてなかった。だったら残っている体力を全部出し切ろう、最後まで加速し続けよう、と心を決めた。勝てたらそれはそれでいいし、負けても問題ないや、と思ってね」(ブアニ)

2日前にはキッテルが驚異的なラストスパートを見せたが、この日は、ブアニが恐るべき追い上げを成功させた。打たれ強いボクサーは、最後に逆転の一発をぶちこんだ。初めてのグランツール区間勝利だった。赤いジャージも、ブアニが鮮やかに手に入れた。イタリアの地でイタリアスプリンターがいつも以上に奮闘したが、区間2→3→5位と好成績を並べてきたヴィヴィアーニは2pt差、3→9→2位のジャコモ・ニッツォーロは9pt差で肩を落とした。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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