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サイクル ロードレース コラム 2014年5月14日

ジロ・デ・イタリア2014 第4ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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イタリア入りした選手たちは、自主的に休養日をあと半日延長した。112kmの極めて短いステージの、大半は、何事も起こらなかった。アイルランドからの長距離移動と、まるでアイルランドからついてきたような雨雲。カーブの多い市街地サーキットコースと、濡れてひどく滑りやすい道路……。大会4日目の、平坦な道には、危険がぎっしりと詰まっていた。誰1人飛び出さなかった。ただマリア・ローザのマイケル・マシューズ擁するオリカ・グリーンエッジが、集団に蓋をするように道幅一杯に広がって、ゆっくりとペダルを回した。

2009年ジロの第9ステージ、ミラノの周回コースでも、プロトンは自主ニュートラリゼーションを強行したことがある。5年前のプロトンは、レース中に一旦立ち止まった。マリア・ローザを着たダニーロ・ディルーカが、マイクを持ち、ファンや開催委員会の前で事情を説明した。トラムの線路、路上駐車、対向車とすれ違う箇所など、落車の危険が多すぎる等々……。

今回はマイクを持つ選手はいなかった。開催委員長マウロ・ヴェーニ自らが、チーム監督や選手と接触を持った。またプロトンの真意を問うために、オートバイに乗ったレゴラトーレ(レギュレーター、レース調整係)が、何度もプロトンに送り込まれた。マルコ・ヴェーロが――2010年に現役を引退した元選手で、なにより長年アレッサンドロ・ペタッキのアシスト役を務めていた――、ルーカ・パオリーニやカデル・エヴァンス、ベルンハルト・アイゼルといったベテランたちと話し合いを持った。

「南イタリアの道路は、雨が降ると、ひどく滑りやすくなる。ニュートラル走行は、プロトンの総意だったんだ。希望は、最終周回の前に、タイム計測が行われること。途中でレース中止を訴えた選手もいたけど、それは、さすがにやりすぎだからね」(パオリーニ)

雨が上がり、市街地周回コースに入ったプロトンは、一旦は加速を始める。しかし、またしても雨粒が落ちてくると、オリカのルーク・ダーブリッジが両手を上げて「T」マーク。タイム、すなわち一時中断を意味するジェスチャーを合図に、オリカが再び集団に蓋をした。ゴール前55km。止まるべきなのか、動くべきなのか。選手たちのフラストレーションは爆発寸前だった。

ゴール前40km。ようやく開催委員会は、選手・チーム側の意向を受け入れることに決めた。無線で全チームカーに、本日限りの特別ルールが伝えられた。全部で8周回あるうちの7周目終了時点(ゴール前8.3km)で、タイム計測を行うこと。ゴール順位は本来のフィニッシュラインで争われるが、ボーナスタイムは一切発生しないこと。

プロトン側も、これで納得したようだ。オリカは横一列フォーメーションから、縦一列へと形を変え、集団牽引を始めた。宙に浮いた赤ジャージを巡って、残り4周回目に設置された中間ポイントでは、小さなスプリントさえ起こった。

……なにしろこの日のレースには、第2・第3ステージを連続でさらい取ったマルセル・キッテルが、不在だった。理由は、高熱。チーム側の発表によると、第3ステージ終了時点ですでに調子を崩していたという。「こんなに素敵なレースから、立ち去らなければならないなんて、本当にがっかりだ」とツイッターに書き残し、現役最速スプリンターは戦線を離れた。予定よりもかなり早く、アイルランド→イタリア経由で、ドイツの自宅へと帰っていった。

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