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ゴール前71.5kmの中間ポイントで、グリーンジャージ着用者ペーター・サガンとポイント賞3位ブライアン・コカールが点取り合戦を行った直後に(サガン3位通過、コカール5位通過)、メイン集団は突如として動き始めた。
下り坂と風に誘われるように、キャノンデールやロット・ベリソルが猛加速。集団は細長く伸びて行き、ところどころでプツンッと切れた。新人賞候補ミカル・クヴィアトコウスキーや今区間入賞候補アルノー・デマールが後方に取り残された。すでに17分近く総合タイムを失っているホアキン・ロドリゲスがまたしても遅れ、スカイのアシスト3人も罠にはまった。ククヴィアトコウスキーを救うために、オメガファルマ・クイックステップのアシスト2人が前集団から下がり必死の牽引を行ったため、幸いなことに大半の選手は遅れを取り戻した。
逃げる2人にとっては、決してありがたくない加速だった。しかも、ゴール前55km、プロトンとの差がわずか37秒に縮まった時に、マテマルドネスが運悪くパンク。先頭に1人残されたヴォクレールには、もはや選択肢はなかった。予定より25kmも早かったが、全力疾走にとりかかった。ダンシングをして、顔を左右に振り、歯を食いしばり。しかし残り16.5km、ヴォクレール劇場の幕は閉じた。華やかで熾烈なスプリンターチームの競演に場を譲った。
「外の空気を吸いたかったというか、走る喜びを味わいたかった。エンジンのならし運転もしたかったし。35歳のボクは、言ってみれば、『古びたディーゼル車』。だから前方に走り出て、脚を思い切り動かして、心拍数を最大限まで上げられたんだから、悪くなかったさ。2人だったから、本気で逃げ切れるとは思っていなかったしね。とにかく今回のエスケープで、調子の良さを実感できた。その点では大いに満足しているよ」(ヴォクレール、ゴール後インタビューより)
そして、またしても、マルセル・キッテルが区間勝利をもぎ取った。マーク・カヴェンディッシュの抜けたオメガファルマ・クイックステップが、残る8人全員でトレインを組んだが、まるで対抗できなかった。この春のミラン〜サンレモで見せたように、ルーカ・パオリーニがアレクサンドル・クリツォフを好位置で発射したけれど、ラインギリギリで出し抜かれた。分断からの復帰で体力を使ったデマールは、あと少し足りなかった。全員まとめてやっつけられた。実のところキッテルは、ラスト1kmで脱線し、アシストの背中を見失っていた。最後はハンドルを投げて――。
「すごく満足しているけれど、すごく疲れた。ラスト1kmに入ってからは、チームメートの後ろに張りついているのさえ難しかった。しかも最終コーナーがひどく厄介で。途端に、みんながどこにいるのか、分からなくなってしまった。自分がいつ、どのタイミングでスプリントを打てばいいのかさえ、分からなかった。だからロングスプリントを打たざるを得なかった。追いつけるか確信はなかった。でもギリギリで上手く行ったんだ。体内エネルギーを、最後の1滴まで汲み出したよ」(キッテル、公式記者会見)
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