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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 レースレポート:第9ステージ】熱狂と興奮のスプリントステージを制したのはアッカーマン「次は正攻法で勝ちたい」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかトップでフィニッシュするも危険行為で降格したサム・ベネット
「いつだって簡単に勝ったように見えるかもしれないけれど、簡単な勝ちなんて決してないんだよ」とフィニッシュ直後に語ったモルコフは、フラムルージュをくぐりながら、ボーラの3両列車の真後ろを頑なに死守してみせる。トレックのエミルス・リエピンスが軽い頭突き(風な動き?)で横槍を入れてきた時も、マジソン世界王者はびくともしなかった。そして自分の高さまで下がってきたリエピンスに..残り600m、今度はベネットが2度、お返しとばかりに体当たりをお見舞いする。
こうして専用発射台の背後に留まり続けたベネットは、ラスト200mでアッカーマンが飛び出すと、自らもスプリントを切った。ライン直前ぎりぎりでライバルを抜き去り、いの一番にフィニッシュラインを越えた。
「フィニッシュ後にビデオを見て、ちょっとサムはやりすぎなんじゃないかと思った。トレックの選手とも話したけど、やっぱり同じ意見だった。ここ数週間の落車を考えると、僕らは他の選手たちのために注意を払わなきゃならない。よりフェアな走りをしなければならないんだよ」(アッカーマン)
ベネットとリエピンスとの一件は、レース後に審判団によりVAR(ヴィデオ・アシスタンス・レフェリー)システムで検証された。ベネット側に危険行為があったとして、同集団内の最下位への降格処分が下された。公式に記録として残される結果は、つまり110位だ。
「こんなやり方で勝ちたかったわけではないけれど、でも正しい判定だと思う。まだ2回くらいはスプリントステージが残ってるから、次は正攻法で勝ちたい。その機会が今から待ちきれないよ!」(アッカーマン)
予定通りに行けば、翌第10ステージで、早くも再びスプリントチャンスがやってくる。大集団で何事もなくステージを終えた総合上位勢にとっても、もう1日、静かな時間を過ごせるのは大歓迎。なにしろ週末には、マイヨ・ロホ争いを大きく左右するであろう、恐ろしき山頂フィニッシュ2連戦が控えている。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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