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【ブエルタ・ア・エスパーニャ2020 レースレポート:第6ステージ】恐ろしいカオスの果てにログリッチが首位陥落「この先も全力で戦う。だってそのために僕はここにいるんだから!」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか残り40km、2級コテファブロの山頂を過ぎた直後だ。「暫定」マイヨ・ロホの座をしばらく行ったり来たりしていたゴルカ・イザギレが、ダウンヒルを利用して先行を始めた。22人の逃げ仲間をあっさり置き去りにすると、濡れて滑りやすい路面を恐れもせず、カーブの多いテクニカルな道を高速で下っていく。一時は後続に40秒ものタイム差をつけた。その後も実にラスト7kmまで粘り、追走する者たちの体力をじわじわと奪い続けた。
「ゴルカが前に飛び出したことで、僕の有利に働いた。周りが追いつこうと必死に仕事をする一方で、僕は体力をたっぷり温存することができたから」(ヨン・イザギレ)
同じ2級峠からの下りでは、総合を争う者たちもまた、布石を打つ。アンドレイ・アマドールと総合3位リチャル・カラパスが、残り33km、突如としてプロトン先方で凄まじいダウンヒルを開始した。あっという間に集団は分裂し……しばらくすると総合2位ダニエル・マーティン率いるイスラエル・スタートアップネイションや総合11位以内にマス、ソレル、バルベルデと3人を擁するモビスターも同調した。
「僕らが下りで加速したことで、他のチームも俄然やる気を出した。おそらく大部分がログリッチの姿が見えないことに気がついたはずだからね。他チームの協力を引き出すことが、まさに僕らの狙いだった」(カラパス)
ログリッチが遅れた理由は、落車でもメカトラでも、はたまた不調でもない。2019年ジロ第15ステージでもちょっとした不注意の積み重ねでタイムを失ったログラだが(メカトラで自転車交換が必要だというのにチームカーはのんきにトイレ休憩中、しかもサイズの合わないチームメイトの自転車で追走中に落車してしまう)、今回もまた少々不用心だったかもしれない。なにしろ山頂手前でレインジャケットを受け取り、肩に羽織ったはいいけれど……ジッパーがなかなか上がらなかったそうだ(手が凍えていたせいだろうか)。集団の後ろでもたもたしているうちに分断が起こり、ライバルたちはどんどん先へ行ってしまったのだ!
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