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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】仲間の棄権とスタッフのコロナ感染...カレブ・ユアンが暗闇に光を差す会心の勝利「今後はみんなもうちょっとリラックスできる」 / 第3ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか250mから明らかな違いを見せたのはベネットだ。横一列でもがくライバルたちを加速一発で退けると、待望のツール初優勝へ向けてまっしぐら!……のはずだった。
しかし、夕方遅いブエッシュ峡谷には、ひどく強い風が吹き降ろしていた。おかげでベネットは向かい風にスピードを殺され、ライン手前でのひと伸びを阻まれた。しかしもっともっと悔やまれるのは、「他の奴の発射台を務めてしまうなんてね」と語るように、自らの背後に、1人のライバルがすっぽりと入り込んでいたこと。風の影響を一切受けることなく、まんまとラスト150mまで体力を温存していたのがユアンだ!
「ラスト1kmの時点で、僕はあまりにも前から遠かった。だから体制を整え直し、改めて後輪に入る必要があった。リスクを冒して、チャンスをつかみ取らなきゃならないと分かっていたんだ」(ユアン)
そもそも列車作りに関しては、ユアンは不利な立場だった。開幕初日にジョン・デゲンコルプを、2日目にフィリップ・ジルベールという経験豊かなベテラン2人が大会を去り、頼れるチームメートはわずか5人に減っていたからだ。しかし他チームの力を拝借し、ライバルの後輪を渡り歩く器用さが、幸いにもユアンにはあった。右フェンスをぎりぎりですり抜けて、一気に進路を左斜め前に切る大胆さも。
「内側にかなり素早く切り込んだから、もしかしたら僕の動きが他の選手には見えなかった可能性もあるね。(フェンスとの間に)挟まれそうになったけど、ちょうどすり抜けられるくらいの隙間が残っていた。あとはライン目掛けてすごくいい走りができた」(ユアン)
フィニッシュ後にガッツポーズを見せるユアン
とてつもなくパワフルに、ツール区間4勝目をさらい取ったユアンは、記者会見では「ほっとした」と打ち明ける。デゲンコルプとジルベールの棄権はもちろん、4人のチームスタッフが新型コロナウイルス感染(と濃厚接触)で帰宅したことで、チーム内の雰囲気はどうしても暗くなりがちだったから。それに自身としても、初日に、目標だったマイヨ・ジョーヌをもたらせなかった。
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