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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】仲間の棄権とスタッフのコロナ感染...カレブ・ユアンが暗闇に光を差す会心の勝利「今後はみんなもうちょっとリラックスできる」 / 第3ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか残す2つの山(3級と4級)をいずれも先頭で越えさえすれば、コスヌフロワの逆転も可能だった。しかし元U23世界王者は、(表向きは)争うことを止めてしまう。それどころか山の小競り合いには無関心で、ただ黙々と逃げ続けたジェローム・クザンの背中を押し、前方へと送り出した。そして自らはぺレスと共に、後方プロトンへと戻っていった。
ただし、2人の物語は、ここで終わったわけではない。というのもコスヌフロワの作戦は、ぺレスを振り払うための「戦略的」退却だったから。この日3つ目の3級峠に差し掛かると……再び猛烈に前方へと飛び出した。今度はナンズ・ピーターズの助けを得た。1人ぼっちで1位通過したクザンの後方で、2位1ptもさらい取った。しかも、そのまま、加速を止めることなく、まるでタイムトライアルのように次の山へ向けて全力疾走を続けた。
ちなみに、たとえコヌフロワが最後の4級峠で1位1ptを取ったとしても、山岳賞首位を取り戻すことは不可能なはずだった。たしかに同点には並ぶ。しかし先頭通過峠が1級1回+4級1回では、1級1回+3級2回のぺレスには勝てないのだ。
それでも無謀な追走を続けたAG2Rタンデムに、まさかの一報が飛び込んでくる。ぺレス途中棄権。3つ目の峠から時速80kmでダウンヒル中に、目の前を走っていたチームカーが急ブレーキをかけ、避けきれずに激突してしまったという。肋骨を解放骨折し、そのまま救急車でツールを去って行った。山岳賞暫定1位のままで。
数奇な運命に導かれて、山岳賞ジャージはコヌフロワのもとに留まった。もはや先を急ぐ必要はなくなり、改めてメイン集団へと自主退却。実はラスト6kmでコヌフロワさえ地面に転がり落ちてしまうのだが……先頭から5分11秒遅れで無事にフィニッシュラインへとたどり着いた。
「ペレスを心の底から応援したい。彼は山岳賞にふさわしい走りをした。こんな状況でジャージを守ったなんて奇妙な気分だけれど、それでも自分を誇らしく思う。僕も落車した。3日間で2回目の落車だった。しかも同じ場所を痛めた。こんなもんさ。これがツールなんだ」(コヌフロワ)
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