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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】仲間の棄権とスタッフのコロナ感染...カレブ・ユアンが暗闇に光を差す会心の勝利「今後はみんなもうちょっとリラックスできる」 / 第3ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかこんな赤玉を巡る狂騒曲にさんざん振り回されたのが、フィニッシュまで127kmも残して、ひとり最前線に置き去りにされたクザンだった。2018年パリ〜ニースでぎりぎりの逃げ切りを成功させた、そんな思い出のフィニッシュ地シストロンへ向けて、再びいい走りがしたかった。なによりツールへ敬意を表するために、自分から退却する選択肢などなかった。ひたすら長く孤独な午後を過ごした。
そう、ひたすら長かった。なにしろそこまで2分程度のタイム差でつかず離れず走っていたプロトンはーージュリアン・アラフィリップのマイヨ・ジョーヌを守りつつ、サム・ベネットのスプリント勝利にかけるドゥクーニンク・クイックステップが、集団制御を引き受けていたーー、さらにもう一段スピードを落としたのだ。ステージ2時間目の時速はたったの28.1km!
「でも僕にとっては素敵な1日だったよ。それにツールはたったの21日間しかないのに、そのうちの1日を最前列で過ごすことができたんだから。おかげでパリに着いた時に、今ツールで僕はたしかに存在していたのだ、と胸を張って言うことができる」(クザン)
逃げ総距離180km、単独逃げ距離110km。フィニッシュまで残り16kmで、クザンは静かにメイン集団へ飲み込まれた。
ここからはスプリンターたちの時間だ。数少ない大集団フィニッシュのチャンスを逃したくない俊足たちが、それぞれに列車を走らせた。「集団内の場所取りで落車の危険を冒すよりは、風を真正面に受け止めてでも最前列で走った方がいいからね」と、黄色いジャージの男さえ、ウルフパック最前列で隊列牽引を引き受けた。
フラムルージュで数的有利を作り上げたのはサンウェブ列車だ。欧州王者ジャコモ・ニッツォーロ擁するNTTサイクリングも、ど真ん中から競り上がった。残り500mを切ると、中間ポイントで集団1位(=逃げクザンに次ぐ2位)を奪ったペーター・サガンが、ダニエル・オスに連れられて好位置に入り、300mころから気の早いスプリンターたちがトップスピードに乗り出した。
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