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つまり前日4級峠を2つ手にしたヴォスが2pt、ストゥイヴェンも2pt。山岳賞争いで2選手が同ポイントで並んだ場合、総合順位が上位の選手に、首位の座が与えられる。第1ステージにベルギーの24歳がきっちり集団ゴール12位で終えていたのに対して、長距離逃げ続けたドイツ人はのんびりと2分半遅れの187位で1日を終えていた。つまりはストゥイヴェンの手に赤玉が渡る可能性が高かった。もちろん、第2ステージの出来次第で、立場は変わりうる。
そんな不安定な状況に、ストゥイヴェンは自らの力でケリをつけた。第1ステージは、自らもスプリント巧者であるにも関わらず、「今日はエドワード・トインズをアシストする」と宣言した。おかげで仲良しのチームメートは、区間5位で新人賞ジャージを手に入れた。この第2ステージは、自分のために走る番だった。「スタート前にビデオでコース地形を予習させられた」というラスト10kmに突入し、厳しい勾配パートに差し掛かると、ついに動いた。ゴール前8km、坂道で見せた一発の加速で、逃げのライバルをすべて振り切った。
「山岳賞や敢闘賞のためではなく、区間勝利が欲しかった。フィニッシュの坂道が、自分にとって難しすぎることは、十分に理解していた。でも、試さずに諦めてしまうなんて、我慢できなかった」(ストゥイヴェン、ミックスゾーンインタビューより)
元ジュニア世界チャンピオンは、果敢に逃げ続けた。1人になった時点で2分あったタイム差は、残り5kmでもいまだ1分半残っていた。しかし後方のメイン集団は、大会初登場の激坂フィニッシュに向けて、すでに本格的な加速体制に入っていた。登れるスプリンターやパンチャーといった、いわゆる「クラシックハンター」を抱えるチームたちが、こぞって隊列をくみ上げ、集団前方でせめぎあいを繰り広げていた。残り3kmで1分、2kmで50秒。
このゴール前2kmこそが、最難関の勾配14%ゾーン。ここでメイン集団先頭から、クロイツィゲルが猛烈なスピードアップを敢行した。ストゥイヴェンとのタイム差を一気に縮めにかかり、ラスト1.5kmではすでに数秒差にまで迫った。それでもなおチェコチャンピオンは追走の手を緩めなかった。フィニッシュ手前450mで完全に飲み込んでしまうまで、無私の献身は続けられた。後輪にはアルカンシェルを、しっかりと背負って!
「特にクロイツィゲルに感謝している。彼は最後の坂を全力で上ってくれた。僕をずっと上まで引っ張り上げてくれた。そこから先のフィニッシュは、僕が全力を尽くす番だった。3位に入るためにね(笑)」(サガン、公式記者会見)
ちなみに最後の坂道に入る前に、カヴェンディッシュは集団から脱落していた。これはすなわちマイヨ・ジョーヌの交代を意味するものだった。また前夜2位のマルセル・キッテルも、当然のように先頭集団から姿を消していた。つまりボーナスタイムと区間順位の関係で、第1ステージ3位のサガンが、第2ステージでも区間3位に入りさえすれば、自動的にマイヨ・ジョーヌが転がり込んでくる計算だった。
「でも本音を言えば、勝つために走っていたんだけど」(サガン、公式記者会見)
ラスト450mで解き放たれたサガンは、夢中でペダルを回した。背後からはジュリアン・アラフィリップが飛び出しを仕掛けてきた。若手の中では最も高い激坂適性を誇り、ツアー・オブ・カリフォルニアでは2年連続でしのぎを削りあったフレンチパンチャーに、一度は追い抜かれた。しかし、昨秋に世界チャンピオンに登り詰め、この春には念願のモニュメントクラシック(ツール・デ・フランドル)を手に入れたサガンは、「過去二夏」とは違っていた。2014年は9回、2015年は11回の区間トップ5入りを成し遂げておきながら、どうしても勝ちきれない……そんなサガンではなかったのだ。
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