人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サイクル ロードレース コラム 2016年8月30日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2016 第10ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
  • Line

ブエルタ伝統の勝負地で、サスペンスに満ちたバトルが繰り広げられた。アルベルト・コンタドールは精力的に加速を繰り返すも、最後には力尽きた。クリス・フルームは一時は大きく脱落しながらも、猛烈なラストスパートで遅れを取り戻した。そして、7月とはまるで違う頼もしさでコバドンガを駆け上がったナイロ・キンタナが、区間勝利を仕留めた。大会1回目の休息日前日、失ったばかりのマイヨ・ロホも、再びしっかりと身にまとった。

1日は簡単に始まったわけではなかった。ステージ序盤には集団落車が相次ぎ、キンタナさえ地面に転がり落ちた。強烈なアタックが幾度となく試みられた。日本の別府史之や新城幸也が、前方へと果敢に躍り出たこともあった。離合集散を繰り返したプロトンから、70㎞地点に迫るころ、ようやくひとつのかたまりが飛び出していった。

16選手の逃げ集団内では、数日前から過熱気味の山岳ポイント争いが、予想通りに巻き起こった。ゴール前約60kmの1級峠では、昨大会山岳王オマール・フライレと、山岳賞にひときわ思い入れの強いコフィディス——2008〜2011年に所属選手ダヴィド・モンクティエが山岳賞を持ち帰り、それが縁で大会スポンサーにも乗り出した——のルイス・マテマルドネスが、抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げた。最後にはフライレが粘り腰を発揮し、先頭通過の10ptを懐に入れる。ちなみにマテマルドネスは、ステージ後に敢闘賞を授与されることになるのだが……。

この1級峠で、真の敢闘を披露したのは、むしろヴィクター・カンペナールツだった。生まれて初めてのグランツールを戦う24歳は、それこそ麓からほぼ山頂まで引き倒した。一緒にエスケープに乗ったチームメート、ロベルト・ヘーシンクのためだった。おかげでタイム差は最大5分半にまで広がった。ゴール前25kmの平地で集団が2つに割れ、オランダ人ヒルクライマーが後方に置き去りにされてしまった時も、自ら後方に下がり集団合流に力を割いた。若きルーラーは自己犠牲を貫いた。コバドンガの麓で最後の全力疾走を行うと、静かに後方へと下がっていった。ゴールまで12.2㎞。後方メイン集団とのタイム差は3分を切っていた。

チームメートの働きに応えるために、ヘーシンクは奮闘した。それはもちろん、総合リーダーのスティーヴン・クライスヴァイクの落車リタイアで、意気消沈するチームを救うためでもあった。山道への突入と同時にルイ・ヴルヴァークが仕掛け、続いてピエール・ローランがアタックを打ったが、慌てずマイペースで追走を続けた。そしてラスト7㎞、前を行くライバルをとらえた。それだけでなく、じわり、じわり、とまさにセンチ単位でフレンチクライマーを引き離していった。

ブエルタで過去3度総合トップ10に入った強者は、ゴール前6.5km、ついに単独先頭に立った。しかし、初めての区間勝利は、遠かった。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!

サイクル ロードレースの放送・配信ページへ