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サイクル ロードレース コラム 2016年9月8日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2016 第17ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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後方に残された26人からは、ヒルクライムの得意な選手が、必死の形相で追走を仕掛けていた。今大会最難関ステージで伝統峠オービスク峠を制したロベルト・ヘーシンクや、普段はクリス・フルームの山岳アシスト役として奮闘するレオポルド・ケーニッヒが、ほんの少しずつ、最前線へとにじり寄っていた。しかし、総合トップ10を狙って乗り込んだツール・ド・フランスで途中棄権を余儀なくされ、「走る喜びを取り戻したい」「自分自身を証明したい」と強く願いつづけたフランクは、どれほどの難勾配ゾーンに差し掛かろうとも――最大21%――決してリズムを崩さなかった。フィニッシュライン直前まで勾配の緩まぬ山道で、安定したペダリングを貫き通した。執拗に追いかけてきたケーニッヒをわずか6秒差、ヘーシンクを11秒差で振り切ると、堂々とてっぺんをさらいとった。

皮肉なことに、過去3年間どれだけ頑張ってもグランツール区間を勝てず、ジロ期間中に「スポンサーの旨味がない」と今季限りでの解散を告げられたイアム サイクリングが、今季4つ目のグランツール区間勝利を手に入れた。母国スイス籍のチームジャージを着て走るスイス人にとっては、生まれて初めてのグランツール区間勝利だった(今大会「初」勝利を手にしたのは11人目!)。年末に30歳となるオールラウンダーは、来季からは、Ag2rでロマン・バルデの山岳補佐役を託される。

ビーエムシー レーシングチームがせっせと引っ張り、最終盤はオリカ・バイクエクスチェンジも先頭で突っ走ったメイン集団は、約4分45秒差で激坂のバトルへ踏み込んだ。しかし山道に突入すると同時にモヴィスター チームが制御権を取り戻し、大量4人でテンポを刻んだ。逃げていたチーム スカイの1人、ミカル・ゴラスも前から降りてきたけれど、すぐに突き放した。ビーエムシー レーシングチームのベン・ヘルマンスやチーム カチューシャのマトヴェイ・マミキンの飛び出しは、マイヨ・ロホ争いには直接的な影響がないとして、放っておいた。

ただアルベルト・コンタドールがアタックを仕掛けると、話は違った。総合ではすでに4分02秒も突き放して入るが、3大ツール全覇者の動きを、やすやすと見逃すわけには行かない。モヴィスター チームは黙々と距離を縮めにかかった。最終的にはナイロ・キンタナ自らが加速して、大先輩をとらえた。アルベルト・コンタドールから総合でわずか5秒のリードしか有していないチャベスも、サイモン・イェーツの助けを得て、すぐに後輪に飛び乗ってきた。

ただクリス・フルームだけは……いつものように、激坂では自分のペースで上るほうを好んだ。メイン集団の後方から、ゆっくりと追い付いてきた。やはり3分37秒ものリードを有しながら、個人タイムトライアルを終えるまではどうも安心できないナイロ・キンタナは、クリス・フルームの接近を感じてさらなる加速を畳み掛けた。7月のマイヨ・ジョーヌは一旦は距離を開かれるも、粘り強くペダルを回し続け、再びしっかりとライバルの背後に舞い戻ってくるのだった。

チャベスがスピードを上げたときも、状況は同じだった。フィニッシュ100m手前では、アルベルト・コンタドールが最後の力を振り絞った。ほんの1秒でも分断を作り出そうと、得意のダンシングを見せた。しかし、いかなるときも、クリス・フルームはもちろん、4人の中で誰一人として脱落する者はいなかった。

結局はフランクから3分27秒遅れで、総合首位ナイロ・キンタナ、2位クリス・フルーム、3位チャベス、4位アルベルト・コンタドールは揃って1日を終えた。もちろん総合順位にも、2位から4位までが25秒差以内という力関係にも変化はなかった。一方で4位アルベルト・コンタドールと5位イェーツとのタイム差は、1分05秒から2分01秒へと大きく広がった。

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