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サイクル ロードレース コラム 2018年9月16日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第20ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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トーマス・デヘントは念願の山岳賞を手に入れた!

トーマス・デヘントは念願の山岳賞を手に入れた!

ちょうどデヘントが3つ目の山に向けて上り始めた頃、背後のメイン集団では、アスタナが猛烈な加速を始めていた。最大3分にまで開いた逃げとのタイム差は、またたく間に縮まっていく。それに呼応するように、4つ目の上りで、前方集団に潜むアスタナ2選手が待機の体制に入った。ついには残り38.5km、前で待ち構えていたオマール・フライレとダリオ・カタルドの後輪に、総合5位ロペスが勢い良くブリッジをかけた!

「チームの総力をあげて攻撃に転じた。表彰台か、それとも全てを失うか。そんな一か八かのつもりで飛び出した。総合4位も5位も、10位も100位も同じこと。ただ総合3位以内に入ることだけに意味があった」(ロペス)

残念ながら、この試みは失敗に終わる。たしかにアスタナの猛烈な加速の成果で、サイモンの隣には、もはやアダム・イェーツひとりしか残っていなかった。ところがブエルタ序盤の2週間を目立たず過ごした双子の片割れは、3週目にたっぷり体力を残していた。ここから先、アダムはたったひとりで、約20kmにも渡って驚異的な追走の脚を披露する。4つ目の山のてっぺんで、ロペスをきっちり回収した。同時に逃げ集団をも、全てきれいに飲み込んだ。

つまり下りではキンタナが、この日2度目の攻撃を試みたが、双子を脅かすことなどできなかった。完璧にシンクロしたアダムとサイモンは、敵をほんの目と鼻の先で生かさず殺さず泳がせつつ、長い下りを安全にこなした。残り20kmでロペスが2度目のアタックに転じ、キンタナと共に5つ目の山を先頭で上り始めた後も、アダムが淡々と仕事をこなした。

「でもアダムが、もうこれ以上は無理だ、と言ってきた。少し心配になった。最終峠の前の谷間を恐れていた。最悪な状況に陥る可能性もあった。だから僕は先手を打って、自ら飛び出すことにした。それにロペスは、何かを持ち帰ろうと必死だったから、きっと僕に協力してくれるだろうと考えた」(イェーツ)

残り17km。5つ目の上りで、「攻撃こそ最大の防御なり」と、イェーツは自ら攻撃に転じた。この瞬間を見逃さなかったのが、総合4位につけていたマスだ。山岳アシストを揃えるモヴィスターやアスタナ、ミッチェルトンとは違い、平地巧者集団の一員として孤軍奮闘を続けてきたクライマーに、迷いはなかった。

「あれこそが今区間の決定的瞬間だ。イェーツが飛び出していくのを見て、すぐに、後輪に張り付くべきだと悟った。すごく苦しかったけど、幸いにも僕には、力が残っていた」(マス)

サイモンにとっても、マスは良き同伴者だった。前を行くロペスに対する総合リードはたったの14秒で、しかも後ろに置いてきた総合3位クライスヴァイクをわずか17秒で、総合2位バルベルデを37秒で逆転できるはずの23歳には、とにかく先を急ぐしか選択肢がなかったからだ。しかもサイモンがアンドラ在住なら、マスもまた、アンドラで暮らしている。

「その先の下りのことは、とりわけ良く知っていたから、ロペスとキンタナに追いつけると分かっていた。だからイェーツとも上手く協力関係が築けた」(マス)

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