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2022年9月実戦投球練習で笑顔を見せる前田健太
投手として選手生命を左右する肘の手術。2021年9月1日に前田健太投手(34)はトミー・ジョン手術といわれる靭帯再建手術を受けた。人工靭帯と自分の右手首から採取した靭帯を組み合わせて移植するハイブリッド方式を採用した。
今季、マエケンがメジャーのマウンドに帰ってくる。
リハビリは壮絶で過酷……。そこからの復活は劇的でドラマチックに……。そんなストーリーを想像していたが、前田のリハビリ過程は“つらさ”を感じさせない。実際には、苦しいこともあるかもしれないが、少なくとも彼のコメントからは、苦しさとは無関係に感じてしまう。かつて、右肘の手術を受けた投手が、術後初めてのキャッチボールで感極まり涙を流した、筆者はそんな映像をテレビでみた経験があるから、リハビリ=過酷、という先入観があるのかもしれない。
「僕はリハビリの日々がつらいと思いません」
なぜか。
「手術する前の自分よりもパワーアップして戻りたい。だからトレーニングするのも当たり前だし、リハビリをきちんとするのも当たり前」
それが理由だ。マエケン流の“当たり前哲学”が、一般的には長期間で苦しいリハビリのプロセスは受け入れるべき当然のこと、として認識させている。
もともと痛みに強い人間だった。小学校4年時にはマラソン大会で足を疲労骨折しながら、完走した。大阪・PL学園高2年時には大阪桐蔭高の左腕、辻内(元巨人)から直球で右腕に死球を受けたが、その後の打席で本塁打を放ったこともある。
「投げていれば多少、肘とか痛みや張りがくるけど、その中でも投げてきた。僕は他の人よりも痛みを感じにくいのかな(笑)。そうやって投げて、ケアをしているうちに痛みも和らいでいくこともありましたから」
現状では、リハビリは完了して「普通のオフシーズンを過ごしています」という。2月16日には、メジャー8年目のキャンプインを迎える。開幕ローテーションを務めることを前提に調整を続け、2021年8月21日のヤンキース戦(ニューヨーク)を最後に離れたメジャーのマウンドへの復帰を見据える。
今季は2016年にドジャースと結んだ8年契約の最終年。マエケン自身は、現役の終わりは「日本球界で」との思いがある。ただ、日本に帰る前に2024年以降もチャンスがあればメジャーでの投球を続けるはずだ。目標とする日米通算200勝。ここまで日米通算156勝(日97勝、米59勝)であと44勝だ。
(文・山田結軌=サンケイスポーツMLB担当)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツには2007年4月入社。阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。
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