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野球 コラム 2020年10月24日

【楽天好き】牧田和久、男気とプロフェッショナリズムのサブマリン

野球好きコラム by 松山 ようこ
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球界でも数少ないサブマリン

「牧田さん!」「男気がすごい」「いやでも手首、真っ赤だし…」。

SNSでファンがざわついていた。10月22日のオリックス戦でのこと。楽天が6−3でリードした9回に、牧田和久が登板。身長2メートル超の強打者モヤが弾き返した球を左手首に受けた。

いったん治療のためベンチ裏に下がったが、その間に流れたスロー映像を見ると明らかに打球は直撃している…。投手交代かと思ったのもつかの間、牧田はマウンドに戻ると何球か投げた後、うなずいて続投した。映し出された彼の左手首は真っ赤だった。

この打球は牧田の腕に当たって3塁方向へ転がるも、鈴木大地がすぐに捌いてサードゴロに仕留めた。再開後、続くアダム・ジョーンズは2塁打。得点圏にランナーを背負うピンチに見舞われたが、続く2人の打者を退けてゲームセット。

そうして牧田が涼しい顔で試合を締めくくった。SNSでは喜びとともに、牧田のケガが大事に至らないことを祈る声で溢れた(翌日も登板しているので大丈夫だったようだ)。

今季から楽天に加入した牧田は、いわずと知れたベテラン右腕。稀有なアンダースローで日本代表としてWBCでも守護神を務め、18年からサンディエゴ・パドレスに移籍。2年ぶりに帰国した元メジャーリーガーだ。ここまでチームトップの21ホールドで47試合とフル回転し、「どこでも投げる」を有言実行している(10月24日現在)。

もともと先発だったが、2015年の西武時代からチーム事情に合わせて、配置転換に応じてきた。先発と救援では準備がまるで違うので、役割は固定したほうが負担は少ないに違いない。だが開幕前、牧田は誰よりも経験を重ねながら、こんなことを話していた。

「どこに出ようが、どこで野球をやろうが、自分のやるべきことは変わらないんですよ。調整の違い?それはプロですから、調整するんです。例えば、一般の企業だったら、2~3年で移動する。それで、また知らない仕事から始めるし、上に立ったら立ったで、また知らない見方があるでしょ」。

今季メジャーから日本へ帰還

見てきた世界と比例するように、物事の捉え方が広くプロフェッショナルなのだ。そんな牧田もキャンプ序盤は、調整に苦労しているようだった。2年ぶりの日本だ。「2年はだいぶ違います。若干ですけど、違う部分は大きい。マウンドもボールも違うわけですから」そう言って、ベテランらしからぬ猛練習をしていた。

「きっちり練習する方なんです」と疲れた様子だった。牧田も35歳。ベテランなので、ある程度は自主性に任されるものだが、それをこなせてしまう体力がある。その時に語ったことを思い返せば、今こうしてシーズン通じて頼れる活躍をみせる秘訣はそのさらに前の自主トレにもあったかもしれない。

自主トレは、同じくメジャー経験のある阪神の福留孝介とトレーニングに励んだ。「練習の7~8割は走ることでした。合わせて下半身強化もしましたが、福留さんいわく、『とにかく走る体力があればいい』と。僕がついていけないくらいの脚力と体力でしたけど、みっちり黙々とやってきました」。

かつてWBCで囲み取材をした時もそうだったが、野球の話を尋ねれば、こちらの意図を即座に読み取り、その向こうにいるファンに伝わるよう的確に語っているのがわかる。

また、逆に柔らかい話題を振れば、人となりがあからさまなほどラフに話をしてくれる。誰もがすぐに敬い、慕うわけである。こうした柔軟さや切り替えの鮮やかさが“仕事ぶり”にも生かされているのだと思う。

文/写真:松山ようこ

松山ようこ

松山 ようこ

フリーランス翻訳者・ライター。スポーツやエンターテイメント関連コンテンツの字幕翻訳をはじめ、Webコンテンツ、関連ニュース、企業資料などの翻訳や制作を請け負う。J SPORTSでは、主にMLBや侍ジャパンのほか、2015シーズンより楽天イーグルスを取材し、コラムやインタビュー記事を担当。野球の他にも、幅広くスポーツ選手はじめ著名人を取材。Twitter @yokobooboo

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