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野球 コラム 2019年4月21日

それでもレッドソックスは、歴代ワースト記録を更新しない……はず。

Do ya love Baseball? by ナガオ勝司
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昨年のメジャーリーグ(ワールドシリーズ)王者、レッドソックスが低迷している。

シーズン開幕から20試合経過時点で、7勝13敗(勝率.350)。

それは今年、メジャー最悪のマーリンズの5勝15敗(勝率.250)に次ぐワースト2位タイ(もう1チームはア・リーグ中地区最下位のロイヤルズ)で、そのマーリンズが1997年にワールドシリーズ制覇を成し遂げた翌1998年、20試合経過時点で6勝14敗(勝率.300)だったことに匹敵するディフェンディング・チャンプのスロースタートとなった。

同年のマーリンズは最終的に54勝108敗(勝率.333)で、同年のメジャー・ワーストを記録した。

ワースト記録といえば、英語版Wikipediaによると「Modern Era」と呼ばれる1900年以降のシーズン・ワースト記録は、まだシーズン160試合制だった時代の1962年にメッツが残した40勝120敗(勝率.250)だという。

年間=6ヶ月で40勝だから、月間では7勝足らずである。当時のメッツ・ファンがどんな思いでチームを応援していたのだろうと思うと、気の毒になってくる。

1900年以前では、1899年に当時ナ・リーグに所属していたクリーブランド・スパイダーズというチームが1899年に20勝134敗(勝率なんと.130!)を記録している。

スパイダーズの記録はおよそ120年前、メッツのワースト記録は半世紀以上も前の話だが、去年はオリオールズが47勝115敗(勝率.290)で歴代ワースト5位になっている。

2003年にはタイガースが43勝119敗(勝率.250)と、「あと1勝」で歴代ワーストのメッツに並ぶところだったので、(スパイダーズはともかく)メッツのワースト記録については昨今のメジャーリーグでも充分に達成可能だと言える。

ア・リーグ東地区3連覇中のレッドソックスには、昨年のア・リーグ最優秀選手ムーキー・ベッツ外野手や、2年連続40本塁打以上のJ.D.マルティネス外野手(指名打者)、(いきなり4連敗したが)元奪三振王の左腕クリス・セール投手など、実績あるベテラン選手が何人もいる「Too good to be worst(ワーストになるには良すぎる)」のチームだ。

誰もがオリオールズやタイガースのようにはならないとは思っているだろう。

ただし、2013年に上原浩治、田澤純一両投手を擁して97勝65敗(勝率.599)でア・リーグ東地区を制し、その勢いを駆ってワールドシリーズになったものの、翌2014年は71勝91敗(勝率.438)で同地区最下位となっているのでどこか、嫌な感じもする

当時のレッドソックスのように、優勝したチームが翌年、低迷することをメジャーリーグでは「Hang Over(二日酔い)」と呼ぶ。

もちろん、本当に選手たちが「二日酔い」しているわけではないが、優勝パレードなどの球団行事が入るお陰で「オフが短くなる」ことに低迷の理由があると見られている。

実際のところ、ワールドシリーズ優勝チームがその翌年の最初の20試合で負け越したのは、過去10年では今年のレッドソックスを入れて3チームしか存在せず、「二日酔い」したチームはそんなに多くない。

ただし、過去10年のワールドシリーズ優勝チームで翌年もプレーオフに進出したチームも、ヤンキース、カージナルス、カブス、そしてアストロズの4チームしか存在しないので、その「二日酔い」が定説になってしまったのかも知れない。

スロースタートから巻き返したチームとなると、2015年の最初の20試合で8勝12敗と負け越しながらも最終的には84勝78敗で地区優勝を争った2014年のワールドシリーズ王者、ジャイアンツのみだ(それでもプレーオフには進出できなかった)。

過去10年のワールドシリーズ王者 翌年の20試合 翌年の最終成績
ヤンキース(2009年) 13勝7敗 95勝67敗(ア・リーグ東地区2位)
ジャイアンツ(2010年) 10勝10敗 86勝76敗(ナ・リーグ西地区2位)
カージナルス(2011年) 13勝7敗 88勝74敗(ナ・リーグ中地区2位)
ジャイアンツ(2012年) 13勝7敗 76勝86敗(ナ・リーグ西地区4位)
レッドソックス(2013年) 9勝11敗 71勝91敗(ア・リーグ東地区最下位)
ジャイアンツ(2014年) 8勝12敗 84勝78敗(ナ・リーグ西地区2位)
ロイヤルズ(2015年) 12勝8敗 81勝81敗(ア・リーグ中地区3位)
カブス(2016年) 15勝5敗 92勝70敗(ナ・リーグ中地区優勝)
アストロズ(2017年) 13勝7敗 103勝59敗(ア・リーグ西地区優勝)
レッドソックス(2018年) 6勝13敗 ???

そもそもメジャーリーグには、2000年にヤンキースがワールドシリーズ3連覇を達成して以来、連覇したチームが存在しない。

今年のレッドソックスが、ワールドシリーズ連覇どころかプレーオフ進出を逃したところで、それほど驚くようなことではないのかも知れない。

ちなみにレッドソックスのチーム史上ワースト記録は、1932年の43勝111敗(勝率.279)だった。ボストンを本拠地としたメジャーリーグ・チームのワースト記録は、ブレーブス(現アトランタ)がその3年後の1935年に記録した38勝115敗(.248)だそうだ。

ナガオ勝司

ナガオ勝司

1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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