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当時のアスレチックスは、ビリー・ビーンGM(現編成本部長)がポール・デポデスタ(後のドジャースGM)を右腕に据えて、後に日本で「マネーボール流」などと評されるようになるセイバーメトリクスを根幹にした「分析野球」を導入。(今ではむしろ、「時代遅れ」になるかも知れないが)典型的には「打率より出塁率と長打率が大事」という野球を展開し、前年の2000年から4年連続でプレーオフに進出している。
そんな「プチ黄金時代」のアスレチックスが唯一、地区優勝を逃したのが、マリナーズがメジャータイ記録のシーズン116勝を挙げた2001年だった(もう1チームは1906年のカブス)。
2001年のマリナーズは、同地区のエンゼルスに対して15勝4敗(勝率.789)、レンジャーズに対して15勝5敗(勝率.750)と「カモ」にしているが、アスレチックスに対してだけは10勝9敗(勝率.526)と苦戦した。
得失点差はマイナス1。得点93に対して失点94と「一歩間違っていれば」勝敗が逆転していたと言えるほど戦力が拮抗していた。
実はこの年、アスレチックスもシーズン100勝(102勝60敗、勝率.630)の大台に達していた。マリナーズとは14ゲーム差の地区2位に終わったので目立たなかったが、それはア・リーグ東地区4連覇中だったヤンキースの95勝を凌ぐア・リーグ2位の成績だった(ちなみにヤンキースはその後、連覇を9まで伸ばしている)。
過去5年、アスレチックスが地区2位ながらワイルドカードを獲得してプレーオフに進出したのは2014年と2018年だったが、いずれの年もマリナーズを地区3位に押しやっての結果だった。その間、アスレチックスに競争力がない年の同地区対決では13勝6敗(2015年)、12勝7敗(2016年)、12勝7敗(2017年)と大きく勝ち越しているのに比べ、2014年と2019年に限っては10勝9敗と接戦に持ち込まれている。
そのアスレチックスに日本で連勝して好スタートを切ったマリナーズ。
シーズン序盤の「同地区対決」を制して、何とかこの勢いを持続させたいところだ。
ナガオ勝司
1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員
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