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野球 コラム 2018年12月30日

【侍ジャパン2018年振り返り】秋山翔吾、柳田悠岐、甲斐拓也のプロ意識と松井秀喜コーチの本気。日米野球の舞台裏

野球好きコラム by 松山 ようこ
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11月に日本で開催されたJAPAN ALL STAR SERIES「2018日米野球」は、侍ジャパンがシリーズで3度もゲームをひっくり返し、5勝1敗とメジャーに大勝した。

最後まで諦めることなく、粘っての逆転勝ち。何度となくスタジアムが湧き、スーパープレーにどよめきが起こった。

かつてのように、MLB選抜チームから現役バリバリのスター選手が居並ぶことはなかったが、MLB監督は通算665勝のドン・マッティングリー監督(マーリンズ)。

また、凱旋帰国した松井秀喜コーチ(ヤンキース)らが、日本への最大限のリスペクトを持って臨んでくれたことで、勝敗を超えたみどころにも満ちていた。

指揮官は同チームを率いることについて、「野手には、フアン・ソト(ナショナルズ)、ロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)といった若い実力者を揃えることができた。また、ヤディアー・モリーナという大スターも見られる」と期待も込めていた。

事実、その期待に応えるように、前月に20歳になったばかりのソトは、東京ドームの天井に2度もぶつける豪快な打球をみせたほか、モリーナは勝利した第3戦で脅威の牽制と3ランで攻守に活躍。

大会中にナ・リーグの新人王が決まったアクーニャは、最終戦でナゴヤドームのバックスクリーン右横に意地のホームランを叩き込んだ。

たくさんの劇的な場面が生まれたシリーズの裏では、何が起きていたのか。前回に続いて、密着したエグゼクティブ・プロデューサーの三木慎太郎の証言とともに、知られざる事実をお伝えする。

◆猛練習していた秋山。シリーズ中に野球教室の柳田と甲斐

「正直、ここまでとは思いませんでした。こうして裏に入ってみて、改めて彼らのプロ意識に驚かされましたね」。侍ジャパンの印象を尋ねると、三木プロデューサーはこう総括した。

長いレギュラーシーズンを終えた後にもかかわらず、準備を徹底する姿勢、そしてフィールド内外の振る舞いが立派であったという。

「国際経験が豊富だから」とチームを牽引することを求められた秋山翔吾(西武)は、開幕から指揮官が絶賛する活躍ぶりだったが、その影でかなりの練習をしていたことも。

「東京では、最後まで一人でグラウンドに残って練習していた」と同プロデューサーは証言する。そうしてしっかりと調整をしたからこそ、初戦から打線を牽引することができたのだろう。

その打棒が炸裂した柳田悠岐と「甲斐キャノン」が話題を呼んだ甲斐拓也は、日本シリーズを制したソフトバンクから選出された。

つまり、今シーズン最も長く試合を戦った選手でもあるが、シリーズ移動日の合間を縫って、福岡の小学校へサプライズ訪問で野球教室も行っていた。

その登場は、6年3組の朝礼の時。朝一番に子どもたちの興奮する声が響き渡り、2人は連戦の疲れを微塵もみせることなく、子どもたち憧れのスター選手として親身に指導にあたったという。

◆本気スイッチの入った松井秀喜コーチ

こうした日本人選手のある種の真面目さを、マッティングリー監督は昔から知っている。

かねてより日本野球、そして王貞治のファンでもあったという同監督は、ニューヨークではコーチをしている時に松井コーチと、マーリンズで監督をしている時にはイチローと時を過ごしているのだ。記者会見では、こんな熱のある言葉を綴った。

「私は、彼らがどれほど努力を重ね、気持ちを抱いて野球に取り組んでいるかを間近で見ることができました。そうした野球愛、心構え、姿勢、基礎がしっかりとしているところは、私たちにもとてもいい影響を与えてくれると思っています」。

「また、私が最初に日本の野球選手に触れたのは19歳のこと。教育リーグフロリダでやっていた時ですが、この時も日本人は熱心に取り組んでいたことを覚えています。すごいものだと思いました。だからこそ、彼らが後に成功するのを見ても、同様の印象を受けているのです」。

続けて、いかに松井コーチが帯同していることを心強く思っているかということも伝えると、すぐ横で、松井コーチはくすぐったそうに、「ファーストベースコーチは経験がないので、非常に心配です」と笑いを誘った。

だからこそ、松井コーチも変わらぬ「気持ちを抱いて野球に取り組んだ」。東京ドームでは、いち早くスタメンを知ろうと動いていた松井コーチの姿が見られたのだ。

もっとも、対策をさせないためか、稲葉ジャパンが決断を下すのはいつもギリギリだったのだが。

結果としては日本が大勝したイメージが強いが、裏では両チームともに「勝利」を求め、「熱」のこもったやり取りが起きていたのだ。

◆「結束!侍ジャパン #43」
・12月31日(月)午後7:00~午後7:30 J SPORTS 1で初回放送
※日本で開催されたJAPAN ALL STAR SERIES「2018日米野球」を特集

松山ようこ

松山 ようこ

翻訳者/ライター/インタビュアー。主にスポーツやエンタメ分野にて実績多数。野球はプロ野球からMLB、他にもマイナースポーツからオリンピック大会まで、国内外の競技場や大会での現地取材を数多く経験するスポーツ好き。アスリートはじめ、一般人から著名人まで幅広くインタビューし、日本語と英語ともに記事やコラムにする。訳書『ピッチングニンジャの投手論』『ベイダータイム』。 ※『ピッチングニンジャの投手論 PitchingNinja's analysis of Japanese MLB Aces』 ※『VADER TIME ベイダータイム: 皇帝戦士の真実

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