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野球 コラム 2018年12月26日

リーグ3連覇を狙いながらチームを再建するドジャースの賢明

Do ya love Baseball? by ナガオ勝司
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メジャーリーグはかくもビジネス的で、分かり易い。

クリスマス直前になって、レッズとドジャースとの間で計7選手が移籍する大きなトレードが成立した。

レッズ:ヤシエル・プイーグとマット・ケンプ両外野手、左腕アレックス・ウッド投手、カイル・ファーマー捕手/内野手(マイナー)+700万ドル

ドジャース:ホーマー・ベイリー投手、ジーター・ダウンズとジョサイア・グレイ両投手(マイナー)

各種SNSの反応を見る限り、ドジャース・ファンの中には、この取引に疑問を呈す人もいたようだ。

ベイリーはノーヒッターを2度達成しながらも、その後は故障や不調に苦しんでいる投手であり、それは今季の成績にも反映されている(20試合で1勝14敗、防御率6.09)。

そんな投手の交換要員として今年のポストシーズンで活躍した強打者で、愛嬌ある仕草でファンから愛されている人気者のプイーグやケンプ、ウッドの三人を一気に放出するなんて! と思って当然だろう。

だが、すべては「カネ」の問題である。ドジャースはこの取引によって、3,000万ドル程度の選手年俸総額を削減したと言われているから、しょうがない。

それにドジャースは過去数年、そういうチーム作りをしてきたのだ。

普通は「主力選手の大量放出」と聞けば、それは「再建中のチームがやること」だが、ドジャースは彼らと同じように主力選手を放出してきたパイレーツやレッズとは決定的に違う。他の球団と同じように彼らにとっての「再建」も「自前のファーム選手の育成」と選手の「年俸総額の抑制」を含んでいるが、それらは競争力を維持しながら行われている。

今のドジャースは、有力FA選手に頼って来た前GM時代からの脱却=「チーム再建」の柱に、コディー・べレンジャー一塁手やジョック・ペダーソン外野手、コリー・シーガー内野手やウォーカー・ビューラー投手といった二十代の若手選手たちを据えながら、ジャスティン・ターナー内野手やマックス・マンシー外野手らをマイナー契約で獲得して「比較的、安価に」構築されている。

2014年の10月に就任したアンドリュー・フリードマン編成本部長は当時、メジャー最高の2億5,728万3,410ドル(公式戦終了時)だったチームの年俸総額の削減と競争力維持の同時達成を見込まれ、低予算球団のレイズから移籍した人だった。

就任1年目の2015年こそ2億71,60万8,629ドル(開幕時)と前年終了時を上回ったが、2年目は2億49,78万1,668ドル、3年目は2億41,14万9,167ドルと着実に減額していき、4年目の2018年は1億87,31万8,213ドルでそれまでのメジャー最高から4位にまで引き下げてみせた。

過去数年払い続けるだけだった贅沢税とも、これで「おさらば」となるはずだ。

2014年、ドジャースはナ・リーグ西地区を2連覇したばかりで、アンドリュー編成本部長の就任後も連覇は続き、今年で6連覇に到達した。しかも過去2年はナ・リーグ優勝を果たし、2年連続ワールドシリーズ出場を果たしたのだから、目的は充分に達成されたと言える。

主力の外野手を2人放出したことで、今オフのFA史上最大の目玉であるブライス・ハーパー獲得間近なのではないかという憶測も流れている。

もちろん、前述のようなここ数年の流れを考えれば、それは考え難いし、もう何人か主力選手を放出して年俸総額を削減しないことには、贅沢税の加算額までの推定3,000万ドル程度の予算ではハーパーを獲得は難しい。

それでもハーパー獲得の可能性がゼロになったわけではないのだが、すでに今オフのFA市場の目玉投手で、レッドソックスのワールドシリーズ優勝に貢献した救援のジョー・ケリー投手を3年2,500万ドルで獲得しており、同じような補強はこれからも続くのではないか。

目指すはナ・リーグ3連覇&西地区7連覇。

そして、夢のワールドシリーズ優勝である。黄金時代のドジャースは、これからも贅沢税を免れるために格闘し続けるのだ。

ナガオ勝司

ナガオ勝司

1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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