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野球 コラム 2018年12月20日

まるで「やきゅつく!!」の補強を進めるニューヨークの名脇役メッツ

Do ya love Baseball? by ナガオ勝司
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10月下旬に代理人業からメッツのGMへと転身した44歳のブロディー・バンワゲネンが、楽しそうに仕事をしている。

就任以来の二か月足らずの間に中軸候補の正二塁手(ロビンソン・カノ前マリナーズ)、メジャー屈指のクローザー(エドウィン・ディアス前マリナーズ)、正捕手候補(ウイルソン・ラモス前フィリーズ)、元クローザーでセットアッパー候補(ヘウリス・ファミリア前アスレチックス)を次々とトレードやFAで獲得し、「打倒ナショナルズ&ブレーブス」の戦力を瞬く間に整えてしまった。

まるでプレイヤーがチーム編成を一手に手掛けるプロ野球のビデオゲーム「やきゅつく!!」である。

同ゲームは日本のプロ野球を舞台にしているが、現実には起こり得ない編成が出来るから人気があるのだと思う。

FA制度も年俸調停制度もメジャーリーグほどには洗練されておらず、おまけにトレードに対してネガティブなイメージのある日本プロ野球では簡単には起こり得ない。あくまでもゲーム=架空の世界の出来事なのだ。

ただし、戦略的トレードをバンバン仕掛けて、選手としての全盛期を迎えたFA選手を獲得するというのは、メジャーリーグでは比較的、頻繁に起こる。

戦略的なトレードやFAを行うと、メディアやファンは「我らがチームは優勝目指して頑張ってる」とアツくなる。

そう、バンワゲナンGMの「やきゅつく!!」的補強を、楽しんでいるのはメディアもファンも同じなのだ。

同GMはマリナーズからカノとディアズを一気に獲得した時の会見で「賢明なやり方をしなければならないのは当然ですが、我々はもっと勝ちたいし、もっと競争力を上げたい」と話し、更なる補強の可能性も口にした。

自然にメディアもファンも「次は何をやるのか?」と期待する。

チームの公式サイトによると、メッツにはこの冬を迎えるにあたり、5つの課題があった。

(1) 誰が編成トップを担うのか? →バンワゲネンGM就任で解決済み
(2) 救援投手陣の立て直し →ディアズとファミリア加入で解決済み
(3) 誰が正捕手となるのか? →ラモス加入で解決済み
(4) 主砲ヨエネス・セスペデスは怪我から復帰するのか? →順調に回復中
(5) 今年のサイヤング賞投手でFAまで残り2年となったジェイコブ・デグロムとの長期契約はあるのか? →元デグロム担当代理人のワゲネンGMが思案中。

当面の課題だった(1) ~(3) が解決したことで、少し長い視野で見なければならない④や⑤の課題も取り組み易い。

それらと並行に、メッツの補強も続きそうな気配である。

メディアやファンが関心を寄せるのは「これ以上、何を?」だ。

現時点ではまったく、噂にもなっていないが、今オフのFA市場の目玉選手ブライス・ハーパー外野手がメッツに電撃入団するとか? 

そうなればとても、とても面白いことになるが、まさかねぇ…。

ナガオ勝司

ナガオ勝司

1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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