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野球 コラム 2018年7月29日

白旗を上げる寸前のエンゼルスを傍目に、今季のメジャーリーグが最高に面白い理由

Do ya love Baseball? by ナガオ勝司
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残念ながら、もはやエンゼルスにはマイク・トラウトと大谷翔平のプレー以外は見るべきものがなくなった(そこにアルバート・プホルスの通算本塁打記録を加えてもいい)。

エンゼルス前半戦終了時(7月15日)で49勝48敗(勝率.505)と勝ち越してはいたものの、勝率5割を維持するのも難しくなってきた。ア・リーグ西地区で彼らの上にいる3位アスレチックスが55勝42敗(勝率.567)と上昇し続けているのとはあまりにも対照的である。

エンゼルスは昨季も前半終了時にア・リーグ2位ながら45勝47敗(勝率.489)と負け越しておるので、「昨季より3勝分、良かった」という言い方もできるが、その後も降下傾向は続いている。

首位アストロズは昨季前半終了時、破竹の勢いで勝ち進んで当時メジャー最高の60勝29敗(勝率.674)だった。今年も64勝35敗(.646)とほぼ同じペースで勝ち続けており、現時点では今季も優勝候補の最右翼ということになる。

エンゼルスにとっての誤算は、アストロズ以外のライバルたちの健闘だろう。

今季前半終了時で58勝39敗(勝率.598)で2位のマリナーズは、昨季は前半終了時に43勝47敗(.478)でエンゼルスに次ぐ3位だった。同じく前半終了時55勝42敗(勝率.567)で3位のアスレチックスは、昨季は前半終了時39勝50敗(.438)で最下位だった。

そう、エンゼルスはこの1年の間にマリナーズとアスレチックスに抜かれてしまったのだ。エンゼルスがこの1年で借金2から貯金1に上昇する間、マリナーズは借金4から貯金19、アスレチックスは借金11から貯金13と勝利数を伸ばしている。

マリナーズやアスレチックスのような球団は他にも多く、たとえば大混戦となっているナ・リーグ東地区では、フィリーズとブレーブスが勝利数を大きく伸ばしている。

前半終了時に53勝42敗(勝率.558)でナ・リーグ東地区の首位に立ったフィリーズは、昨季の前半終了時は29勝58敗(勝率.333)で最下位だった。前半終了時52勝42敗(勝率.553)で2位につけているブレーブスは、昨季前半終了時は2位ながら42勝45敗(勝率.483)だった。フィリーズは借金29から貯金11と大幅に勝利数を伸ばし、ブレーブスも借金3から貯金10と勝利数を伸ばしている。

ついでに書いておくと、ナ・リーグ西地区でも昨季前半終了時に34勝56敗(勝率.378)と低迷していたジャイアンツが、今季前半終了時には50勝48敗(勝率.510)と勝ち越し、借金22から貯金2への大躍進中である。

お陰で前半終了時に勝率5割を超えていたのは全30球団の半分を超える18球団にも達していた。7月26日の時点ではそれが19球団に増えている。昨季の前半終了時に勝率5割を超えていたのが12球団だったことを考えれば、まさに「群雄割拠」だ。

ナ・リーグ東地区では前半終了時48勝48敗(勝率.500)のナショナルズを含む3強の対決。同西地区でもジャイアンツに加え、前田健太投手のいるドジャース、平野佳寿投手のいるダイヤモンドバックス、そしてロッキーズの4強対決となっている。2枚あるワイルドカードを考えると、安泰そうに見えるのはア・リーグ中地区のインディアンスぐらいだ。他の両リーグ5地区はすべて、最後の最後までペナントレースが見逃せない状況になっている。

 

寂しいシーズンになりそうなのはエンゼルスだけじゃない。主砲マチャドをドジャースに放出したオリオールズ、左腕J.A.ハップをヤンキースに放出したブルージェイズ、勝率5割以下に沈むア・リーグ中地区の4球団と数多い。さらにエース左腕コール・ハメルズをカブスに放出したレンジャーズ、冬の間に優勝を意識した補強をしなかったマーリンズやレッズ、いくら連勝しても優勝圏外にあるパイレーツ、抑え役のヘウリス・ファミリアをアスレチックスに放出したメッツの12球団がすでに「白旗」を上げている。

大谷翔平を通じてメジャーリーグに接した人々にとっては残念な状況になったが、東からヤンキース=田中、カブス=ダルビッシュ、ダイヤモンドバックス=平野、ドジャース=前田と日本人メジャーリーガーがプレーしているチームが数多く優勝争いに残っていることが有り難い。現役メジャーではないが、マリナーズにも岩隈とイチローがいて注目すべき価値はある。

2018年も残り60試合足らず。白熱するペナントレースを見届けて欲しい。

ナガオ勝司

ナガオ勝司

1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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