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野球 コラム 2018年4月29日

大谷翔平のエンゼルスと対戦するヤンキースが「悪の帝国」へと復活する日

Do ya love Baseball? by ナガオ勝司
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エエ感じになってきた。

ヤンキースがデレク・ジーター(現マーリンズCEO)を中心に黄金時代を築いていた1990年代の終わりから新世紀の初頭、毎年のようにペナントレース=ア・リーグ東地区優勝争いの頂点に立つ彼らを見て「またヤンキースかよ」と思っていた野球ファンは多かった。

当時の中心選手であるジーター遊撃手やポサダ捕手、守護神リベラ投手に左腕ペティット、ウイリアムス中堅手といった生え抜きの面々を中心に、ティノ・マルティネス一塁手やポール・オニール右翼手、ロジャー・クレメンス投手やマイク・ムシーナ投手、デイビッド・コーン投手やチャック・ノブロック二塁手/外野手、そして松井秀喜といったスター選手が入れ代わり立ち代わりチームにやって来ては栄光の時代を築いていった。

1998年からワールドシリーズ3連覇。同年から9年連続ア・リーグ東地区優勝。1995年から13年連続プレーオフ進出と書き連ねるだけでも圧倒されてしまうが、かつての勢いを無くした2008年以降でさえ、ワールドシリーズ優勝1回、地区優勝3回、プレーオフ進出6回とメジャー屈指の強豪球団として君臨している。

アンチ・ヤンキースという言葉は、彼らがそれだけ強かったことの証であり、チームが一時的に弱体化したほんの数年前、その響きを懐かしく思ったものだ。違う言い方をすれば少し寂しいような気がした。

アーロン・ジャッジという若き本塁打王の誕生もあって、ヤンキースは昨季、地区優勝したレッドソックスに次ぐア・リーグ東地区2位でワイルドカードを獲得した。プレーオフでは地区シリーズの流れを変えた田中将大の好投もあって、前年のリーグ王者インディアンスを撃破したばかりではなく、のちにワールドシリーズ王者となるアストロズも、あと一歩(3勝4敗)まで追い詰めた。

オフになるとナ・リーグ本塁打王にして最優秀選手のジャンカルロ・スタントン(当時マーリンズ)をトレードで獲得し、1961年に当時メジャー記録だったベーブ・ルースのシーズン61本塁打記録を打ち破ろうとしのぎを削ったミッキー・マントルとロジャー・マリス以来の「主砲コンビ」を誕生させ、地区連覇を狙う宿敵レッドソックスに追いつき追い越そうとしている。

もしもヤンキースが、これからジーターがいた時代のような長い黄金期を作るのだとしたら、それはジャッジを中心に、チーム生え抜きのサンチェス捕手、アンドュハー三塁手、先発のセベリーノ、左腕モンゴメリー、そして、かつて守護神チャップマンを放出した際、カブスのファームから獲得したトーレス二塁手らの若手選手が今のような存在感を示し続ける時である。

今季終了後にFAになるブライス・ハーパー外野手(ナショナルズ)やマニー・マチャド遊撃手(オリオールズ)の獲得に乗り出す可能性も噂されるほどだから、大枚を叩いて有力なFA選手をかき集める金権球団のレッテルが消えることはないだろうが、その屋台骨を支えるのはやはり、若手選手である。

やっぱり、こうでなくちゃいけない。

過去数年のワールドシリーズ優勝チームであるロイヤルズやカブス、アストロズの隆盛は歓迎すべき事態なのだが、強いヤンキース(本塁打王か三冠王か ヤンキースの「奇跡」ジャッジは、スーパースターへの道を歩む 参照)が「敵役」として君臨することで「嫉妬」や「憎悪」といったシェイクスピア的に欠かせない感情が生まれ、メジャーリーグが活性化する。

シェイクスピアが大げさなら、ヤンキースはやはり、映画「スターウォーズ」における「悪の帝国」であり、ジーター以来の黄金期を作ろうとする編成トップのブライアン・キャッシュマンGMは、SF映画史上最高の悪役「ダース・ベイダー」でなくてはならない。

宿敵レッドソックスや健闘中のブルージェイズ、「投打二刀流」の大谷翔平が加わって派遣を狙うエンゼルスや前出の新王者アストロズは言わば、「ジェダイ」であり、「レジスタンス=反逆軍」だ。彼らは旧シリーズなら勇猛果敢なルーク・スカイウォーカーやならず者のハン・ソロ、シリーズ最新作なら自身の正義のために帝国軍から反逆軍へ寝返ったフィンや、「ルーク」の再来である女性戦士レイだ。「悪の帝国」ヤンキースがこれから圧倒的な強さで勝ち進めば、とーっても分り易いメジャーリーグ・ワールドが誕生するのである。笑

ナガオ勝司

ナガオ勝司

1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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