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野球 コラム 2018年4月9日

「投」より「打」でスター選手になってしまった大谷翔平の近未来

Do ya love Baseball? by ナガオ勝司
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たった4試合―。たった4試合でスター選手になってしまった。

エンゼルスの大谷翔平は、投げては初登板初勝利、打っては3試合連続本塁打でメジャーリーグのスター選手の仲間入りを果たした。

いつかのコラムで、「メジャーリーグは打者・大谷に驚くのではないかと思う」と書いた(参照:ついにベールを脱いだ「打者・大谷翔平」)が、まさか最初からここまで打つとは思わなかった。先のコラムでは「マイナー降格」の可能性さえあると書いたのだから、ここは敬意を持って脱帽するしかない。

3試合連続本塁打なんて普通の野手だって簡単にできないことである。もはや「投打二刀流」がメジャーでも通用するかどうかという不安も霧消してしまった。ここからは彼の活躍をただひたすら、楽しみにするだけだ。

大谷の登板間隔は、日本とほぼ同じ中五日か中六日になっているので、次回は8日に行われるホームでのアスレチックス戦(決定済み)、その次は14日の敵地カンザスでのロイヤルズ戦、その次は21日か22日のナ・リーグとの交流戦、ジャイアンツ戦になりそうだ。

アスレチックスは前回登板の反省を生かしてしっかり対策をたててくるとは思うが、たとえば前回対戦で手を焼いたフォークボールは、対策を立てて何とかなるものではない。

怖いのはやはり、失投だ。

アスレチックス戦の3安打はすべて失点した二回に打たれており、左打者の5番ジョイスが時速98マイルの真ん中高めの速球を左前打、6番ピスコッティには内角低めの時速100マイルの速球を右前に、そして、7番チャップマンには外角低めを狙ったスライダーが少し甘く入ったところを左中間本塁打にされた。

ピスコッティのヒットとチャップマンの本塁打は、日本でなら違う結果になっていたかも知れない。テレビを見ていた人ならすぐに分かると思うが、日本でなら最初の2本はヒットにならず、最後の本塁打も長打にすらなっていないのではないか。それぐらいメジャーリーグの打者は、打順に関係なくパワーがあり、失投が大けがに繋がってしまう。

もちろん、勝負ごとに「たら・れば」はないので話を先に進めると、パワーがあるのはロイヤルズ打線やジャイアンツ打線も同じで、下位打線でもペース配分など考えずに速球はとにかく力のある球、変化球はどこに投げるのかが好投の鍵となる。

打者としては、相手投手の配球が変わってくることが予想される。

トムリン(インディアンス)から打った最初の本塁打は内寄りのカーブだったが、次の2本は外寄りの速球である。外角への変化球―右投手ならチェンジアップ、左投手ならスライダーやカーブにも、リーチの長い大谷は本来対応できるはずだし、彼が実際にそれらの球を打って、メジャーリーグの各球団に「オオタニは外角が強い」という認識が生まれれば、今のところは見せ球程度にしか使ってこない内角への速球を使ってくることになる……それもしつこいぐらいに。

昨年のサイヤング賞投手クルーバー(インディアンス)の速球を打てたのだから、大谷はすでにメジャーリーグの投手のスピードやパワーには対応できている。某スカウトが「日本では内角球の見極めもうまかった」と言っているぐらいだから、あとは「手を出さなければならない」というカウントになった時の内角球をどう打つか、だ。

大谷がこのまま打ち続ければ、打順も上がる。

もしかしたら、オープン戦で起用されたような「2番」に起用されるかも知れない。メジャーリーグの「2番」は日本の「3番」的な役割になることが多いので、「2番」だからと言って突然、大谷が犠牲バントや繋ぎの進塁打を打つことを求められるわけではない。3番トラウト、4番アップトン、5番プホルスの前を打って得点も打点も稼ぐ「メジャー最強打者」として活躍する場所が与えられることになると思えばいい。

もしも大谷が次の試合も好投して、打者としても上位に定着してしまったら?

彼は正真正銘のスター選手となり、今夏、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.で行われる第89回メジャーリーグ・オールスターゲームへ出場することになる。

ナガオ勝司

ナガオ勝司

1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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