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野球 コラム 2018年4月1日

大谷翔平の「開幕メジャー」にくっきりと浮かぶメッセージ

Do ya love Baseball? by ナガオ勝司
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これでもう、待ったなしになった。

大谷翔平の「開幕メジャー」は、エンゼルスの「最終通告」に等しいと思っている。

つまり、「あれだけ不振でも開幕メジャーに入れたのだから、そこで結果を出さなければマイナー降格も有り得るよ」というメッセージだ。

投手としてオープン戦2試合で2回2/を投げて3本塁打を含む9安打9失点(自責点8)、練習試合や紅白戦の短いイニングを零封することができなかった。打者としても11試合32打数4安打で打率1割1分5厘だったのだ。彼が普通のマイナー契約でメジャーキャンプに招待された選手なら、間違いなく「開幕マイナー」だった。

投手としての奪三振率は高いし、打撃練習でも首脳陣を驚かせるような打球を放っており、潜在能力は誰もが認める通りだ。しかし、エンゼルスが大谷をメジャーに残した理由は、彼が有望株ランキングNO.1でHype=前評判の高い選手だったからだ。

マイク・ソーシア監督は、大谷の「開幕メジャー」についてこう説明したという。

「私たちは違うレンズで彼を見ています。皆さんは打率や防御率を見ているが、私にとってはプロセスがすごい重要なのです」

だが、それは今後、結果が出てこそ「ソーシアやエンゼルスの眼力は正しかった」と評価されることだ。大谷は3月29日の開幕戦の初打席で右前打を放ったが、その後の4打席はすべて凡退。今後も同じような結果だけが残ったとしたら、何が起こるのか。

先のコラム(参照:大谷の「開幕メジャー」に黄信号が灯っている)でも少し触れたが、エンゼルスは「投手・大谷」に期待しているので、「打者・大谷」が幾ら打撃で苦しんでも、「投手・大谷」がきちんとした成績を残せば、「マイナー降格」することはない。

だが、「投手・大谷」が公式戦でも苦戦し続けて、ソーシア監督の言う「違うレンズ」で見えるものに「結果」が伴わなければ、そこは容赦なく「マイナー降格」となる。

メジャーリーグの各球団は常に、マイナーにいる有望株を「メジャーに昇格させる理由」を探している。それと同時に、すでにメジャーにいる有望株が「マイナーに降格させる理由」も探している。

すでにメジャーリーグにいる大谷は、後者に当てはまらないように、メジャーに生き残るために戦っていかなくてはならない。エンゼルスが彼をマイナーに降格させる理由を作ってはならないし、そのためにはソーシア監督の言う「違うレンズ」だけではなく、メディアやファンと「同じレンズ」で見ても、誰もが納得できる結果を残さなければならない。

オープン戦での成績だけを見れば、大谷が他の選手たちとの「競争に勝った」という感じはない。しかし、結果的に彼は「開幕メジャー」を勝ち取ってしまったのだ。その戦いに敗れた者たちは、間もなく開幕するマイナーで戦いながら、いつの日か訪れるチャンスを虎視眈々と狙っている。大谷のように才能のある選手はそういないが、彼の代わりに「メジャーで活躍してやる」と意気込んでいる選手なら、山ほどいる。

だからもう、待ったなしだ。

まずは4月1日(日本時間同2日)のアスレチックス戦、投手としてのデビュー戦だ。

一つのアウトを取ること。それを丁寧に積み上げること。

メジャーで生き残る道は、それが起点になる。

ナガオ勝司

ナガオ勝司

1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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