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ヨーロッパ各国のリーグ戦では、ベンチ入りの人数はJリーグより多く、各ポジションに複数人をベンチに置けるので、監督はより自由に選手交代を使うことができる。
オリンピックの場合も、せっかく22人が正式メンバーとなったのだから、全員のベンチ入りを認めてもらえば監督たちにとって本当の朗報となっていただろうに……。
「22人登録・ベンチ入り18人」という決定は、おそらくFIFAとIOCとの間の妥協の産物なのであろう。
そもそも、サッカーのメンバーが18人となったのは、IOCに参加選手数をできるだけ少なくしたいという思惑があったからだ。
オリンピックについては以前から「肥大化」が問題視されてきた。競技数も種目数も拡大し、参加選手数もそれに伴って急造してきた。2021年の大会は、1964年の東京大会に比べてすべてがほぼ2倍に増加している。
当たり前だ。IOCはオリンピック人気を維持するために、次から次へと新競技を追加してきた。実施競技数を増やせば、ますます多くの国でテレビ中継が行われ、IOCが手にする放送権料も増えることになる。
しかし、選手数が多くなれば「肥大化」の批判も激しくなり、開催都市への負担が大きくなれば、将来は開催に名乗りを上げる都市がなくなってしまうかもしれない。だから、IOCは参加選手数を増やしたくないのだ。それで、サッカーも登録メンバーを18人とされたのだ。
一方、FIFAとしては事実上のU-23の世界選手権であるオリンピックのサッカー競技では、レベルの高い試合をさせたい。そのためには、ベンチ入りの人数を増やす必要がある。
そこで、FIFAは「コロナ禍の東京大会だけの例外」という形でIOCに22人登録を認めさせたのだろう。しかし、IOCは肥大化の印象だけはぜひとも避けたい。そこで、「ベンチ入りは18人」というなんとも姑息な数合わせをした。それが、今回の決定だったのだろう。
いずれにしても、22人登録が可能になったことによって、日本チームは「上田問題」で悩まなくてもよくなった。そして、バックアップとして普通だったらスタンドから試合を見守るしかない立場だった林大地には貴重な出場機会が与えられたのだ。
そのチャンスを生かして、林大地選手が活躍してくれることを期待したい。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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