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ダニエル・ユーリが見せたターン中盤から後半にかけての 巧みな山脚の使い方とフォールラインへの意識 | 岡田利修のアルペンWC解説 vol.4
SKI GRAPHIC present’sアルペンスキーコラム by SKI GRAPHICダニエル・ユーリ
滑りの技術やコースレイアウト、マテリアルの特徴など、さまざまな角度から2023シーズンのアルペンスキー・ワールドカップを解説していく本コラム。第4回は、スラロームの名手として活躍する、ダニエル・ユーリ選手(スイス)の滑りを解説します。
ダニエル・ユーリ選手の滑りの特徴は、ターン中、常に身体の近くにスキー板を置いて、タイミングの良いコンパクトなエッジングを行なっているところです。そのことを可能にしている動作が、ターン中盤から後半にかけての山脚の使い方です。
スキーを解放する動作のあと、山側の脚に体重を乗せかえる際に、山側の脚の位置が谷側の脚より前にあることで、次の外脚で角づけ動作を行なう際に、お尻の下にスキーをキープすることができ、その結果、コンパクトなエッジングを可能にしています。
それでは、優勝したキッツビューエルの2本目の滑りを見ていきましょう。キッツビューエルのコースの特徴は、斜度はそこまで急ではないものの斜面の起伏が多くあり、斜度以上に難易度が高く感じるコースと言えます。
アルペンスキーFIS W杯 男子スラローム キッツビューエル(1/22)
【ハイライト動画】大逆転V! D.ユーリ
序盤はリズムが取りにくいため、警戒し消極的になりやすいセクションですが、ユーリ選手はフォールラインに上体の向きをキープしながら、序盤から早い動きで積極的にスキー板を下に向けていっています。
中盤は左側に大きく傾いている片斜面が続き、一つのミスも許されません。セッティングも振り幅のあるオープンゲートが続いて難しいパートでしたが、ユーリ選手は冷静に攻めることができていたため、滑りからセットやコースの難易度を感じられません。さらにそこから良いリズムをキープし、ゴールまで攻め続け、見事に優勝を飾りました。
ユーリ選手の滑りからは、早いタイミングでのエッジングの解放、足元から切りかえることでスキー板をお尻の下にキープすること、常にフォールラインに向かっていくといった基本動作の大切さを感じました。難易度の高い状況になればなるほど、基本動作の精度が求められることがわかる1本です。ぜひ参考にしてみてください。
【プロフィール】
岡田利修(おかだ・りしゅう)
1978年生まれ、北海道札幌市出身。アルペンレーサーとしてワールドカップを転戦。最高位はSL24位。世界選手権では23位を記録。レーサーを引退後、全日本スキー技術選手権大会に出場(最高位4位)。SAJナショナルデモンストレーターを2期務め、現在は解説者や指導者として精力的に活動中。YUASA SNOW ACADEMYコーチ
SKI GRAPHIC
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