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島田麻央の2連覇なるか!早春の台北アリーナで世界中の若芽たちが花開く | ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2024 男女シングル プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2024
世界中の若芽たちが、氷の上で、美しく花開く時。2024年2月28日から3月3日まで、世界ジュニアフィギュアスケート選手権が、早春の台北アリーナにて執り行われる!
多くの選手にとっては、人生初めての大舞台。もちろん未来のチャンピオンたちにとっては、自らの栄光を歴史に刻みつける最初の機会となる。例えば現役世界王者の宇野昌磨は、17歳で世界ジュニアを制した。2年前にジュニアで世界の頂点を極めたイリア・マリニンは、いまや「クワッド・ゴッド」としてシニアの頂点を争う。
歴代優勝者リストには、日本の偉大なる先人たちの名前もずらりと並ぶ。女子は1990年の佐藤有香を皮切りに計8選手が、男子は2002年の高橋大輔を含む6選手が、金色の歓喜を味わってきた。しかも1年前のカルガリー大会では女子・島田麻央、男子・三浦佳生が表彰台の最上段に立ち、史上3度目の日本人アベック優勝を祝った。
今回の台北大会へは、日本からは男女シングルそれぞれ3選手ずつ、ペア1組、アイスダンス1組が乗り込む。中でも15歳の島田麻央が、日本人選手として史上初の世界ジュニア連覇を目指す。
■女子シングル
圧倒的な大本命。ジュニアカテゴリーにおいては、世界ジュニアと2度のジュニアGPファイナルを含め現在15連勝中。島田麻央の2連覇を脅かすものなど、もはや存在しないかのようだ。
3回転アクセルと4回転のいずれをも飛びこなすのは、今大会の出場選手の中でただ島田ひとりだけ。3Lz+3Tや3S+3T+2Tという難易度の高いコンビネーションも、さらりとプログラムに組み込む。もちろん身体の柔らかさを活かした絶品スピンも、躍動感あふれるスピンも、レベルを取りこぼすことなどほとんどない。
2連覇どころか、年齢制限の関係でジュニアワールド4連覇さえ可能な15歳にとって、おそらく敵は外部にはいない。むしろ焦点は、いかに過去の自分を超え、どこまで完璧に近づけるか。今シーズンの島田はここまで1度も、SP・FSをクリーンに揃えることができずにきた。パーフェクトな演技で、絶対的な存在へと昇華してほしい。
上薗恋奈は、間違いなく、表彰台候補のひとり。昨秋には、生まれて初めての国際大会であるJGPトルコでいきなり2位に飛び込み、2戦目のJGPポーランドで優勝。さらにはJGPファイナルで3位銅メダルに輝き、「シニア」の全日本では堂々4位に食い込んだ。SPで出遅れることが多々ありつつも、FSに難しいコンビネーションを複数組み込むことで、数々の逆転表彰台を成し遂げてきた。可憐さと強さが同居する13歳。今大会中にさらなる進化を遂げる可能性も秘めている。
すらりと長い肢体と、艶やかでキレのあるパフォーマンスが魅力なのが櫛田育良。16歳の高校1年生は、4度目のジュニアナショナルでついに念願のメダルを射止め(銀)、初めて世界ジュニア行きの切符をもぎ取った。
日本女子3人に立ちはだかるのは、おそらく韓国勢だろう。JGPファイナル2年連続銀、世界ジュニア2年連続銀、ユース五輪銀……のジア・シン15歳は、今回こそゴールド獲りの悲願を果たしたいはず。1年前の世界ジュニアで4位と奮闘したキム・ユジェ14歳も、今シーズンのJGPファイナルとユース五輪でいずれも4位のキム・ユソン14歳も、それぞれ3回転アクセルを武器に持ち、それぞれにもうひとつステップを上がりたいと願っている。
昨ワールドジュニアでやはり3回転アクセルを初めて成功させた上に、3A+2Tも大胆に組み込んだ14歳インガ・グルゲニーゼ(ジョージア)も、大技さえ決まれば非常に手強いライバルとなる。17歳のサリーナ・ジョス(イタリア)は、すでにシニアで通用する完成度の高さ。所属をスイスから今季イタリアに移し、「シニア」ナショナルを制した。さらには欧州選手権に出場し、6位入賞さえ果たしている。
■男子シングル
昨年末にJGPファイナル王者となった中田璃士は、初めての世界ジュニアで、世界の頂点へと駆け上がりたい。クリーンなプログラムを2本揃えさえすれば、金メダル獲りは、極めて現実的な目標だ。
今季はSPに少々てこずっている。JGPファイナルはSP4位と出遅れた。優勝が期待されたユース五輪に至っては、SPは13位とさんざんの出来だった。しかし苦しみの中でも、中田の芯の強さが光った。JGPファイナルでは完璧なFSを決め、パーソナルベストを11点以上も大幅に更新した上に、逆転優勝をもぎ取った。悔し涙を飲み込んで臨んだユース五輪FSでは、2位の好演技を見せた。
中田の最大の武器は、質の高いジャンプ。流れるように飛び上がり、軽やかに着氷する。自ずとFS冒頭に組み込む4回転トーループも、3回転アクセルも、常に極めて高いGOE(出来栄え点)加点を稼ぎ出せる。15歳とは思えないほど成熟した表現力や、観客を引き込むエンターテインメント能力もまた、中田の大きな魅力と言える。
中村俊介18歳と垣内珀琉17歳も、生まれて初めての世界ジュニアへ挑む。今年の全日本ジュニアを制した中村は、JGP大会で優勝を含む表彰台3度、昨季JGPファイナル4位と、国際大会の経験も実績も十分。持ち前の幅のあるダイナミックな4回転トーループや3回転アクセルを、大舞台でも次々と決めることさえできれば、表彰台だって期待できる。
一方の垣内は、3回転アクセルはいまだ練習中。4回転トーループもいまだ成功率は高くはないものの、きれいに決めたJGPハンガリー大会FSでは、PBを20点以上塗り替え表彰台に乗っている。伸びしろはまだまだ大きい。
JGPファイナル2位、ユース五輪1位と今季好成績を連発し、本来ならば中田璃士とって最大のライバルとなるはずだったキム・ヒョンギョムは、今大会は残念ながら欠場。「シニア」の世界選手権出場へと向かう。
しかも中田と中村を除けば、3回転アクセルと4回転の両方を安定して成功させられている選手は、おそらくカナダのアレクサ・ラキッチ19歳ひとりだけ。ちなみに今季は完全にシニアとして転戦し、年頭のナショナルではシニア2位に輝いた。つまり今シーズン初めてのジュニア大会であり、ジャンプ構成や演技時間の変更を余儀なくされることになる。
だからこそ今大会の男子シングルは、ある意味で混戦が予想される。4回転はいまだ成功ゼロながら、セオ・ミンキュー(韓国)、ダニエル・マルティノフ(アメリカ)、フランソワ・ピト(フランス)らは今季のJGPシリーズで1度ずつ優勝をもぎ取ったし、ジェイコブ・サンチェス(アメリカ)はユース五輪SP1位の好演技を実現させた。4回転抜きの上に3回転アクセルさえ未完成でも、ヤハノ・リー(ニュージーランド)はユース五輪で銅メダルを持ち帰り、アルレット・レヴァンディ(エストニア)は全参加中4番目に高いPBを有している。
やはり4回転は飛ばないが、スロバキアのアダム・ハガラは、経験の面では間違いなくナンバーワンだ。すでにシニアの世界選を2度経験し(最高23位)、欧州選はこの冬3度目の出場を果たした(11位)。同時にジュニア大会も転戦を続け、今シーズンはJGPファイナル3位、ユース五輪2位。17歳にして早くも3度目の世界選に向かう前に、人生4度目のワールドジュニアで大きな成果をつかみ取りたい。前回大会は14位だった。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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