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フィギュア スケート コラム 2025年5月15日

島田麻央が圧巻の世界ジュニアフィギュアスケート選手権大会史上初の3連覇!「最高の演技をすることができました」 | ISU世界ジュニアフィギュアスケート選手権2025 女子シングル レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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シングル選手として男女通して大会史上初の3連覇を成し遂げた島田麻央

完璧が、さらに極まった。ショートプログラム(SP)もフリースケーティング(FS)も、ノーミスで、オールレベル4。技術点も演技構成点(PCS)も文句なしの1位で、両プログラムともにパーソナルベスト(PB)を更新。16歳の島田麻央が、文字通り、パーフェクトに2025年世界ジュニアフィギュアスケート選手権を制覇した。シングル選手としては男女通して大会史上初の3連覇を成し遂げた。

SP「Defying Gravity」に関しては、すでに凄まじい安定性と完成度を誇っていた。今季ここまでのジュニア6試合で一度もミスはなく、国際試合では毎回、確実に、得点も伸ばし
てきた。

シーズン締めくくりのワールドジュニアで、島田はさらに一段階上のパフォーマンスを見せた。のびやかに、はつらつと、そして力強くプログラムを演じ上げ、すべてのエレメンツで驚異的な出来栄え点(GOE)加点を積み上げた。SPとしては人生2度目&今季初めてとなる、PCSオール8点台も達成。74.68点という高得点で、2位に7.21点差という大差をつけると同時に、なにより今までの自分を0.90点上回った。

「今までで一番緊張したショートでした。でも笑顔は忘れませんでした。ストーリーが大好きでしたし、このプログラムを演じる最後の機会だったので、絶対に良い形で終わらせたかったのです」(島田)

一方でFS「窓から見える」は、シーズン最後の試合で、ついに今季初めてノーミスを実現した。

誰よりも難しい構成に挑んできたからこその、ジレンマだったに違いない。今大会は8選手が3回転アクセルを、3選手が4回転を飛んだ。ただ3Aを成功させられたのは3人だけで、4回転は2人だけ。そして3Aと4回転の両方を……わずかな回転不足も、着氷の乱れもなく、完全な形で披露したのは、全参加選手の中で島田ひとりだけ。

プログラム冒頭の大技を2つとも完璧にこなせたのは、実は島田にとっても、昨季ジュニアGPファイナル以来2度目。しかも当時は続くジャンプで3つのミスがあった。言い換えれば、3Aと4回転の両方を組み込んだプログラムを、島田はキャリアで初めてパーフェクトに成功させたことになる。

もちろん、ジャンプだけでなく、あらゆるエレメンツで最高レベルのパフォーマンスを見せた。プログラムの最後まで、島田は決して体力も集中力も切らさなかった。締めの美しいコンビネーションスピンには、ジャッジ9人中5人からGOE最高評価の「+5」が与えられ、会場の観客からはスタンディングオベーションで惜しみない称賛が贈られた。

「今日はとても緊張していたのですが、その緊張を乗り越えて、自分にとって最高の演技をすることができました。最初の難しいジャンプ2つを成功させられて、すごく嬉しくなりました。でも、演技はまだ終わっていなかったので、ミスをしないように気をつけながら、落ち着いて滑り続けました」(島田)

FSの結果、PBを一気に3.4点も塗り替え、156.16点という凄まじいスコアを叩き出した。FSだけで2位以下を約30点も突き放し、トータルでは40点以上の差をつけた。その総合得点は自己ベストにして、大会史上最高得点の230.84点に到達。シニアでさえも、今季、島田のスコアを上回ったのは、NHK杯の坂本花織しかいない。

今季はその坂本に続きシニアの全日本選手権を2位で終えた以外、国内でも国外でも、島田はあらゆるジュニアの試合で優勝を果たした。そもそも、この4シーズンはジュニア23戦23勝で突っ走ってきたのだが……SPもFSもすべて1位で揃えたのは、正真正銘、今季が初めて。完璧な大会で、完璧なシーズンを締めくくった。

3年連続で表彰台の頂点に立った島田の隣には、これまでと同じくシン・ジア(韓国)が並んだ。コンビネーションジャンプで転倒があったせいで、SPは7位に沈みながらも、質の高いスケーティングと、上品な表現力とをいかんなく発揮し、FSでしっかりと巻き返した。ワールドジュニアで表彰台に4度上がった選手はこれまでも存在したが(女子1995〜1998年エレーナ・イワノワ、他にペア1組とペアの女性1名)、4大会連続の銀メダルは史上初。

「マオとは3回も一緒に表彰台に立ちました。彼女はいつだって私を励ましてくれます。マオからは学びたいことがたくさんありますし、おかげで私はより一層努力することができるのです」(シン)

島田と同じ2008年生まれながら、7月1日で年度が変わるフィギュアスケート界においては、3月生まれのシンはいわゆる学年が1つ上。10月生まれの島田が最低でもあと1シーズンはジュニアにとどまる必要があるのに対して、シンは来季からシニア転戦が可能となる。

すでに昨季シニアとして四大陸出場さえ果たし、今季はここまで完全にシニアに専念してきたエリス・リン=グレイシー(アメリカ)は、「さらに前進するための一歩後退」ととらえて人生初のワールドジュニアに乗り込んだ。

緊張との付き合い方を学び、自らのポテンシャルを最大限に発揮するためにハードな練習を重ねてきたという17歳は、SPは4位ながら、ノーミスで折り返した。演技前は「最高にナーバスだった」というFSも、冒頭のコンビで着氷がわずかに乱れた以外は、すべてをクリーンに揃えた。リン=グレイシーは嬉しい逆転表彰台を達成するとともに、実は大きな使命だった「ジュニアGP最大出場枠」を、母国アメリカに持ち帰ることに成功した。

15歳のインガ・グルゲニゼ(ジョージア)は、SP後半のコンビネーションを含むすべてをクリーンにまとめ、自己ベストの2位と好スタート。しかし3Aを組み込んだFSでは、ジャンプの着氷や質に苦しみ、得点が思うようには伸びず。6位で大会を締めくくった。

またSP3位の中井亜美は、総合では一つ順位を下げ、2年ぶりの表彰台乗りはならなかった。勇敢な挑戦ゆえの代償だった。FSではこれまで繰り返し挑んできた大技3A×2回に、改めてトライ。残念ながら冒頭の1本目では転倒があった。2本目は着氷が乱れ、予定していたコンビネーションにできず、繰り返し違反が取られた。それでも丁寧な演技を最後まで心がけ、スピンはしっかりすべてレベル4でまとめ上げた。

和田薫子にとっては初めての国際ジュニアシーズンの終わりの、初めての世界ジュニアを、8位で終えた。多くのジャンプで回転不足やエッジエラーを取られた。ただ滑らかなスケーティングや、美しいスピンポジションはただただ眼福で、プログラム2本ともすべてレベル4でまとめ上げたのは、全出場選手の中でも島田と和田のただ2人だけ。FSのPCSだけなら全体の2位と、持ち前のやわらかな表現力は高い評価を得た。

文:J SPORTS編集部

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