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3位 ブレイディ・テネル(アメリカ)
1、2位の選手のように3アクセルなどの「大技」は持っていないが、安定感抜群のブレイディ・テネルは、安定感を武器に、ようやく自身初となるISU選手権大会のメダルを手に入れた。
SPではすべてのエレメンツを高い質で完成させ、特にスピンとステップの出来栄え点には+4、+5がずらりと並び、自己ベストを更新して2位に。FSでは、冒頭の3ルッツ-3トゥループのコンビネーション・ジャンプで乱れたが、すぐ気を改めて残りのエレメンツを次々とクリアした。特筆すべきのは、FS「ニュー・シネマ・パラダイス」で見せた、今シーズン飛躍的な進歩を遂げた表現力だ。今まで「体が硬い」「ロボットみたい」と散々指摘されてきたテネルだが、もともときれいな姿勢に加え、今や手足の動きも表情も柔らかくなり、スケーティング・スキルをも向上させた。その結果、高い技術点に加え、出場した全選手の中で、一番高い演技構成点を稼いだ。総合得点は3位になったが、「今日の演技にとても満足しています。冒頭のコンビネーションに入るときは少し焦って、ミスしてしまいましたが、すぐに気を取り直してプログラムを滑りきりました。そのリカバリーに対しても満足しています」と笑顔で演技を振り返って、「練習を積み、世界選手権でもっといい演技を見せることを楽しみにしています」と意気込みを示した。
4位 樋口新葉(日本)
2年ぶりにISU選手権大会に復帰した樋口新葉は、SP、FSとも自己ベストを更新して4位に入賞した。SPはほぼノーミスで、技術的にも優れた演技だったが、彼女の力強い滑りと表現力に注目したい。曲は「Bird Set Free」。傷ついた鳥がようやく勇気を見つけたように、自分も何も恐れずに自由に飛ぶというような歌詞が、「自分の心境に似ている」と樋口が言ったように、特別な思いが込められたプログラムだ。怪我や挫折を乗り越えて復帰した彼女のこの演技は、本当に感動的だ。
FSでは冒頭に3アクセルに挑戦して転倒したが、回り切ったことが「次につながる」と本人は前向きに捉えた。その他、前から難題だった3サルコウがダブルになった以外、他のエレメンツをうまくまとめた。さらに、フラメンコの振り付けを入れながら手足を大幅に動かし、華麗に名曲「ポエタ」を演じた。SP、FSとも5位についたが、総合得点で4位となった。
5位 坂本花織(日本)
続いて5位についたのは、2018年の四大陸女王坂本花織。SPでは躍動感が溢れる曲「No Roots」のリズムに合わせ、ダイナミックなジャンプを見せ、小さいミスがありながらもシーズンベストに近い得点で4位に。FSでは、果敢に4トゥループに挑んだが、回転不足で転倒した。大技をやって体力を使いすぎたか、その後のいくつかのジャンプで着氷が乱れ、3連続ジャンプでパンクしたミスもあった。しかし、映画「マトリックス」のサウンドトラックに合わせ独特な振り付けを見せ、「バレットタイム」と呼ばれる名場面を再現するなど、観客を楽しませながら、8点台後半の演技構成点を獲得した。FSでは8位に落ち込んだが、総合得点で5位となった。他にも、カレン・チェンやイェリム・キム、ウンス・リムなど、完成度の高い演技が続出で、本当に見どころ満載だった「百華百彩」の今大会、ぜひご覧いただきたい。
文:ウェイション
ウェイ・ション
中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。
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