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フィギュア スケート コラム 2019年2月6日

四大陸フィギュアスケート選手権 男子シングルの見どころ

フィギュアスケートレポート by ウェイ・ション
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Text by ウェイ・ション

今年の四大陸選手権は7年ぶりに北米で開催されることになる。今大会の会場であるホンダ・センターを含め、北米のアイスリンクはアイスホッケーのアリーナとして使われることが多く、そのリンクの寸法・サイズや氷の固さは、普段フィギュアスケートがメインとなるリンクで練習する選手にとって若干慣れていないことであろう。特にジャンプからの得点が技術点における割合が高い男子シングルにとって、どのようなカーブで助走する、どこの場所で踏み切る、どのようにエッジをコントロールして着氷するなど、リンクの状況によってジャンプの跳び方を微調整しなければならないということもよく耳にする。四大陸からスケーターが集まる今大会で、男子の選手たちがどれほどリンクとうまく付き合い、ダイナミックなジャンプと見事な滑りを見せてくれるのか、観るものをワクワクさせるものだ。

宇野昌磨選手

宇野昌磨選手(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

けがを乗り越え メダルのアップグレードへ 宇野昌磨
パーソナルベストや今シーズンの実績などを見ると、五輪王者の羽生結弦が休養中、グランプリ・ファイナル金メダリストのネイサン・チェンも学業を優先するため不参加となる中、今大会での優勝の最有力候補は異議もなく宇野昌磨だ。

ただし懸念は、12月末の全日本選手権の練習中で捻挫した右足首の回復具合だ。実際、本人が自身の公式サイトで「怪我が思ったよりも長引いてしまいまして、一時は四大陸選手権も間に合わない可能性もあり」と書き、そして「じっくりと休養し世界選手権のみ臨むことも考えましたが、怪我で長く休んだ身体に試合感をつける必要性を感じ、今回は四大陸選手権に出場希望を出しました」と説明した。まだ万全な状態ではなさそうだが、すでに渡米して現地で調整しており、現地情報によると異常はなさそうだ。

もちろん、完成形となる「ムーンライト・ソナタ」の演技も見たいし、悔しさが残らないような結果も期待しているが、体を最優先し、無理せずに今できる限りの演技を見せてくれるだけでも、十分見ごたえがあると信じる。なぜなら、底力が強いからだ。

ボーヤン・ジン選手

ボーヤン・ジン選手(写真:写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

座を守る ボーヤン・ジン
グランプリシリーズの結果だけを見ると、ボーヤン・ジンの名前を見落としやすいが、ディフェンディングチャンピオンの実力を忘れてはならない。確かに、シーズン前半ではコーチ変更を巡る葛藤が長引き、そして試合の直前に航空券やビザのトラブルが続出したこともあり、一時期心理的にネガティブになり、その影響で本番でなかなか実力を出しきれなかったと本人が話してくれた。しかし、その後いろいろ調整し、新しいルールにも慣れつつあり、12月末の全国選手権で調子を取り戻し、4ルッツを含めて高難易度のジャンプを次々と成功させ、(国内試合なので参考にならないが)300点超えの高得点を叩き出した。今大会でまたこのような演技をできれば、四大陸王者の座を守ることができる可能性もかなり高い。

ホームで大活躍を チーム・アメリカ

ジェイソン・ブラウン選手

ジェイソン・ブラウン選手(写真:Getty Images)

主催国アメリカからは、スケーティングのスタイルがほぼ正反対とも言えるヴィンセント・ジョウとジェイソン・ブラウン、そしてISU選手権大会初出場となるトモキ・ヒワタシ(樋渡知樹)だ。

先月の全米選手権で見事に2位を獲得したジョウは、プログラムに入れる4回転の種類と数で人々をあ然とさせる。今シーズンずっと回転不足に悩まされたが、全米で改善が見えた。最近は基礎スケーティングの練習にも力を入れているとの情報も入り、演技構成点を向上させたい決意を示した。ホームで会心の演技ができれば、得点のポテンシャルが高いはずだ。

一方、氷上のアーティストとして知られるジェイソン・ブラウンは、4回転を入れなくても、質が非常に高い三回転と優れた表現力を武器にする戦略を取る。ショートの自己ベストは96点もあり、トータルスコアの自己ベストも世界トップ10入りなので、完成度の高い演技を2つ揃えれば、表彰台は射程圏内である。と言っても、ブラウンのプログラムが始まる時、観客たちはきっと得点や順位のことを忘れて、ただただその演技をじっくりと見たくなるであろう。

キーガン・メッシング選手

キーガン・メッシング選手(写真:Getty Images)

その他、今シーズン一気に大きな成長を見せ、グランプリファイナルに進出して見事に銅メダルを獲得したジュンファン・チャ、同じくグランプリファイナルに出場したキーガン・メッシング、そして会心の演技でカナダ選手権を優勝したナム・グエンなどの実力者もメダル争いに加わると予想される。

最後に忘れてはならないのは、日本代表の田中刑事と友野一希。不本意なパフォーマンスで終わった全日本の後に、「弱い自分が出ている。これからまた成長したい」と意気込みを示した田中だが、今大会でうまく調子を整え、落ち着いて自分らしい演技ができたら、自国開催の世界選手権につながるようないい経験になるであろう。そして友野も今大会に向けてうまく調整し、自分にとって納得のいくパフォーマンスを出せれば、また去年の世界選手権のように観客にいいサプライズをくれるかもしれない。

田中刑事選手(左)、友野一希選手(右)

田中刑事選手(左)、友野一希選手(右)(写真:Getty Images /YUTAKA・アフロスポーツ)

代替画像

ウェイ・ション

中国広東省出身、早稲田大学アジア太平洋研究科を卒業。 コンサルタントを勤めながら、フリーランスのジャーナリスト・通訳として活動。数々のフィギュアスケート国際大会で記者会見の通訳を担当する経験があり、昨シーズンから国際スケート連盟ホームページの選手フィーチャーインタビュー・記事も執筆。趣味はフィギュアスケートの各種記録、データを覚えること。

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