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フィギュアスケートファンの“もっと選手の素顔を知りたい!”という熱い想いに応えるべくスタートした、「フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋」2018/2019シーズン!日本選手はもちろん、海外選手のプログラムも多数手掛ける振付師・宮本賢二さん(KENJI)が、ゲストを迎えて、楽しく、真剣にトークを繰り広げます!
今回のゲストは、2014年の全日本選手権で競技からの引退を発表し、2018年秋のアイスショーをもってフィギュアスケート「実演家」から引退。現在は2つの大学で非常勤講師を務めるとともに、早稲田大学大学院にてスポーツマネジメントについて研究を重ねる町田樹さんが登場!
——おお、町田く~ん、お久しぶりです。かっこいいね!これ私服?
町田:ありがとうございます。私服ですね。
——すごい。衣装さんの服みたいな感じで。ネクタイも自分で選んだの?すごくシックな感じ
町田:はい、自分で。最近は普段もフォーマルなんですけど、その中にも今日はちょっと遊び心を取り入れてみました。
【KENJIの印象と関係性】
町田:誰に対してもとてもフランクな方であるという印象ですね。私の性格とはちょっと対照的なんですけど。でもまあそういうお人柄もあって、スケーターの皆さんから慕われているんだと思います。かつて、ショートプログラムである「黒い瞳」と、エキシビションナンバーである「ロシュフォールの恋人たち」という素晴らしいプログラムを振り付けてくださいました。
【どんな話をしたい】
町田:実はですね、そのプログラムを振り付けていただいたのが2011~12年の話なんですけれども、それ以来個人的にお話ししたことは一度もないんですよね。なので今日初めてKENJI先生と深くお話ができるとのことなので、ずっと楽しみにしてきました。お互い振り付けを行う者ですので、フィギュアスケートの振り付け論ですとか、現行の競技ルールについて議論ができたら嬉しいですね。または、KENJI先生はかつてアイスダンスの実践者でもあった方なので、アイスダンスを取り巻く日本国内の環境についてぜひお話を伺いたいです。
プロスケーターを引退した現在
——改めまして、ゲストの町田樹さんです。よろしくお願いします
町田:よろしくお願いします。
——今日はこれからちょっといろんな話をしていきたいと思うんですけど
町田:ほんとに楽しみにしていました。
——ほんと?トーク番組って出たことあるん?
町田:ほとんどないですね~。
——ほとんどないの?じゃあ今日は初めてっていうことで
町田:ほぼ、初めてだと思います。ま、日常生活の中でいろいろな人と対話することは多いですけど、番組としては初めてですね。
——ああ、そうなんや。じゃあえっと、町田くんは、この10月でスケーターとしての引退をされたわけですけれども、今は何をされてるんですか?
町田:今は早稲田大学大学院で、研究生活をしています。
——研究?何の研究?
町田:音楽を使って身体表現をするスポーツを「アーティスティック・スポーツ」と銘打っていまして、このスポーツのマネージメントの研究に取り組んでいます。
——じゃあやっぱりスケートっぽい感じはするよね
町田:そうですね。フィギュアスケートや新体操、アーティスティック・スイミングみたいなスポーツの研究に取り組んでいます。
——そうなんや、演技のほうの、表現だ。じゃあいろいろ忙しくしてそうなんですけども。スケーターとして最後の演技となった10月のカーニバル・オン・アイスを見たんですが、長い時間だったんだけどすごく見れて感動的だったんやけども。その後のコメントで「スケートをブームじゃなくて文化にして欲しい」っていう言葉を聞いたときに、俺インストラクターみんなと見てたんだけど、もう拍手が起こったね、やっぱり
町田:ああ、嬉しいです。
——素晴らしい言葉。人前でああいうことを言ってもらえるっていうのは
町田:いや私も、ああ言ったからには、今後の活動を通して、フィギュアスケートをブームでなく文化に変えていくことに対して貢献できる人間になっていかなきゃいけないなと思っています。
——それはでも、変な言い方やけど、責任かもしれへんね。やっぱりトップスケーターやったし
町田:25年間スケーターとしてのキャリアを歩ませてもらったんですけれども、いろいろなことを学ばせていただきましたし、自分自身を成長させてくれたフィギュアスケートですから、今度はそこに還元していく、恩返しをしていく立場になっていくと思います。
「人間の条件/マーラー・アダージェット」@カーニバル・オン・アイス2018
——カーニバル・オン・アイスのプログラムの話を聞きたいんやけど、俺のメモの中に「輪廻」「十字架」「氷」「黄色」ってあるんやけど、これどういうこと?(笑)
町田:輪廻はどういうことでしょうね…。それはマーラーの「アダージェット(交響曲第5番第4楽章)」のほうなんですけれども、どんなに過酷で不条理な人生であったとしても、それでもなお立ち上がって生きていく人間の尊厳みたいなのをテーマにした作品で、結構照明にこだわったので、そのあたりの印象がメモによって残されているのではないかと思うんですけれども。
——ぐ~っと回って寝転んでシュ~ッといったやん?真ん中で。あのときの照明の形が十字架に見えたのはおかしい話なの?
町田:いや、あの、十字架に見えると思います。まっすぐに光のラインを照明によって作って、そこに私がこう入っていく演出です。で、私のピンスポットとその照明が重なり合って、ちょうど十字の形になるみたいな照明になっていたと思います。
——う~ん、なるほどね
町田:黄色というのは、あの「人間の条件」というプログラムの照明は空の情景をモチーフにしていて、最初のシーンは日の出なんだけど分厚い雲の隙間から「ヤコブの階梯」っていって光の柱がパーッと空から地上へ降り注いでいくイメージだったので、たぶん黄色という印象が。
——なるほどね。じゃああの、手を出したときの水色は、雨ではなく空の色なの?
町田:いや、あれはまた難しくて、人間の生命の源みたいなイメージですね。アイディアの源みたいな。エネルギーに満ちた光として使っていたので、青でした。
——なるほどね。で、「イーグル」「手」「力」「抜ける」って書いてあんねんけど、あのときイーグルで何してたっけ?
町田:イーグルをやってパッと力を抜くシーンがあったんですけれども。常にあのプログラムは、神だったり自分の運命の支配者みたいなものとの対話で振り付けをしていったんですけれども。例えば最初の振りで、天に祈りを捧げる問いかけをするんだけれども、天からは何も返ってこない。で、また立ち上がって滑っていって、また問いかけるんだけれども、それでも返ってこないっていう苦しい心情が最初のほうでは描かれていて。そのイーグルのところも、パッと神に必死に問いかけるんだけれども「ああ、やっぱだめだ」っていうような虚無感みたいなのを、そこの振り付けで表現しました。
——なんかね、振り付けって考えると、いろいろ動いて表現するっていったときに、何もしないことが表現とか力を抜くっていうのがあんまりないやん?試合とかでは。だからそれがすごい印象に残っていて、どういうあれなのかなって思って聞きたかったところなの
町田:でも私もKENJI先生の振り付けで印象的なのは、やっぱり緩急で。きれいにポジションを取った後にふっと抜けるところを必ず作っていて、そこが印象的だなと感じてるんですけど、KENJI先生もそのへんの緩急みたいなのは気を付けてるんですか?
——そうですね(笑)。緩急、うん、気を付けてる。町田くんの言うとおりに、俺は今までやってきた!それを思ってやってきました(笑)
町田:なんかよくKENJI先生は、物に例えて「こう、ぐっと絞って」っていう指導方法というか表現を使っていて、すごくわかりやすいんですけれども。KENJI先生も、何か美しいポジションを取った後に、脱力で緩急をつけていくっていう工夫をいつもされているんじゃないかなって思っていたんですけど。
——うん、してる(笑)。で、カーニバル・オン・アイスで演技中に2回失敗してしまったやん?あれはやっぱりやり直したいっていう気持ちはあるんかな?
町田:マーラーの「アダージェット」という作品は9分30秒あるので、まあ体力的にも精神的にも厳しく、実は転倒は覚悟していました。けれども、あのプログラムのコンセプト自体が、挫折してもなお立ち上がっていく人間の尊厳をテーマにしたものですので、その2回の失敗さえも表現行為の一部になったなと思い、納得はしています。
——あの、そうだと思います。見ててそう思ったし、失敗も含めての表現だなっというふうに見てた
町田:フィギュアスケートはスポーツでもありますから。普通の舞踊の舞台はもちろん失敗は許されないと思いますし、アイスショーの世界もそれはないほうがいいですし、本来であればミスは許されないと思うんですけれども。それでもミスを恐れて無難で簡単な構成のプログラムをしても、会場も広いですしお客さんの心に届くのかと考えたときに「う~ん」って悩むんですよね。だから最後まで自分ができる最大限の技を組み込んで、常にギリギリのところの作品を提示したいと私は考えていましたので、最後までそういう意味では挑戦できたことに誇りを持っています。
——素晴らしかったと思う
町田:常にフィギュアスケートのジャンプは失敗と成功が表裏一体っていうほど運動強度の高い身体運動なので、今回の「人間の条件」っていう作品では、失敗も成功も表現行為として昇華できるようにとの意図を込めて振り付けをしました。なので、私がこれまで振り付けてきたプログラムの中で唯一、即興だとかハプニングによる表現の余地を残した作品と言えるかもしれないです。
——なるほど。そう言われるとちょっと納得するね
町田:いつもはなんか、この性格はちょっと改めないといけないなと思う面もあって、ほんとに完璧主義なんですよ。完全無欠が美だっていうふうに考えちゃう節があるんですけれども。これまでのプログラムは「なるべくミスがないように」って、もちろんミスはあったときもあるんですが、そういうふうに演じていたんですけども、今回のマーラーの「アダージェット」は自然体で、失敗してもそれも受け入れて、でもすぐに立って次に進んでいくというような覚悟で演じていたので、そういう運命だったんだなと思います。
——うん
町田:それにあの、実はフリップジャンプとルッツジャンプを転倒してしまったんですけれども、自分の中ではほんとに完璧なアプローチでした。空中でも「絶対これは成功する」っていうようなジャンプだったんですね。それで失敗したから「あ、これは運命なんだ」と思ってすんなり受け入れられました。
——そういうもんなんだ、と
町田:例えばこれが、自分の練習不足とかで体力がなくて、最後9分くらいのときにトリプルルッツが入っているんですけど、もう体力不足で力なくてパーンってパンクしちゃったみたいなジャンプだったら、たぶん私は一生後悔したと思います。もっと稽古積んで体力つけてやっておくべきだったじゃないかって思ったと思うんですけれども、もうアプローチもスピードも十分だったし、何も心配いらないっていうようなジャンプで、実際に空中では「あ、きた!」って思ったのに転んでしまったから。
——結構豪快にコケたもんね
町田:そうなんです。だから「あ、うん、こういう運命だった」ってすごく納得したんですね。だから今ほんとに何の不満もなく、晴れやかにあの演技を振り返って見れますね。
——そうなんや、いや素晴らしいですよ
町田:後悔はないです。
——ええやん、後悔がないプログラムなんてないよ
町田:ほんとです。だけど、転倒したらそれだけ体力を奪われてしまうので。やっぱりあの、ジャンプ1本目だったんですけれども(笑)、あそこで転倒してしまったので相当体力が奪われて。
——いきなりやもんね(笑)
町田:でもやっぱり最後まで踊りきらないとっていうところで、でも体力的にも厳しかったことは事実なので。それがあと5分ぐらいあったんですね、そこから。なので精神的にはほんと大変だったんですけど、最後まで戦い抜けたかなと。それが「町田樹らしいパフォーマンス」だったなと、ほんとになんか、うん、思いますね。
引退セレモニー@カーニバル・オン・アイス2018
——あのときさ、みんながわ~って集まってさ、ステファンとかハビエルからすごくわ~ってハグされてたやん?何か言われたの?
町田:ステファン・ランビエールさんからは「引退おめでとう」っていう言葉と、あとは「何か困ったことがあったらいつでも連絡してきなさい」という温かい言葉をいただきました。
——優しいね(笑)
町田:ハビエル・フェルナンデスさんからは「引退おめでとう、ほんとにお疲れ様」という力強いお言葉をいただいて。フェルナンデス選手とは、私、ジュニアのころからず~っと同じ競技会で、戦友なんですよね。だからすごく感慨深かったですし、彼も今シーズンをもって選手を引退することを表明しているので、彼の選手としての最後も温かく見守りたいと思います。
——結構みんなわ~って来てたやん。他の人も何か言ったりしてたん?
町田:驚きました。
——なに、なに?(笑)
町田:いや、あの、そうやって(わ~って来て)くださって驚いたんですけど。私、実は、舞台裏ではあまり他のスケーターの方と接しないというか(笑)。
——そうやね、そりゃ集中してるもんね
町田:そうなんですけれども、ああいう瞬間に共演者全員の結束力みたいなのが感じられて、とても心温まりましたね。ほんとにああいう素晴らしい引退セレモニーを用意してくださった方々全員に感謝しています。
——ねえ、あれ感動的やったよね。いや、あそこに俺も入りたいな~と思いながら(笑)
町田:入ってきてください(笑)。
——いやいや、靴履いてへんし、コケるやん(笑)。いやあ、あれよかった。みんなわ~って来てね、真ん中でぎゅ~ってなってたやん。あのときは自分で何か言ったりしたの?
町田:もう「ありがとう!ありがとう!」っていう感じで(笑)。こんな素敵な引退の舞台を作ってくれて、自分はほんとに世界一幸せなスケーターなんじゃないかと、あの瞬間は思っていました。
——でもほんとに、悲しい気持ちと、晴れやかな気持ちもあるけど、なんかすごく複雑な感じで見てた。「引退って言わんといてよ」とか「もうちょっと見てみたいなあ」とかって。でもね、それがやっぱりちょっとアーティスティックな感じがして、いいんじゃないですか?(笑)
町田:もうほんとに、パフォーマーとしては思い残すことなくすべてをやり尽くしたと思っているので、私としては晴れやかな気持ちで引退することができました。ほんとにあの、選手のときにKENJI先生からいただいた「黒い瞳」と「ロシュフォールの恋人たち」というプログラムは、私の選手としての時代のときに飛躍への転機になったプログラムなので、ほんとにKENJI先生には感謝しています。
——いやいや、やめてください(笑)
町田:いや、ほんとに、これは。
——でも、ね、良かったもんね。町田くんで覚えてるのは、「黒い瞳」のときに、練習中に「これやっといて」って言ったら、うずくまってたの覚えてる?
町田:覚えてないですね。
——うずくまってるから「どうしたん?」って訊いたら、「足が動かなくなりました」って(笑)。それまでずっと、2時間か3時間おいてたんかな?俺。ちょっと用事があって(練習場を)出て、帰って来たらうずくまってて。2時間ずっと同じことをやり続けて、その日に筋肉痛になってん。それは覚えてる?
町田:はい、覚えています。いつも新しいプログラム振り付けるときって、新しい動きをやるから、ほんとに身体がすごい筋肉痛を感じるんですけれけど。KENJI先生に振り付けてもらった最初のプログラムっていうこともあって、自分がこれまでやってこなかった動きだとか使ってこなかった筋肉っていうのを、KENJI先生の振り付けによって呼び覚まされたのか、そこを酷使しすぎてたぶんダウンしちゃったんだと思うんですけど。
——そのときの振りとか覚えてる?
町田:覚えてます。特にステップのときの、ロシアンスタイルの。
——どんなんやった? どんなんやった?
町田:えっと…確かこう、コサックみたいなのを入れたりして。
——ああっ!やっぱりキレがありますね!(笑)
町田:ほんとにあの、ワクワクしました。踊る喜びみたいなのを感じることができました。
——ほんと?それは嬉しい
スケートを始めたきっかけ
——ここから町田くんのキャリアを振り返っていきたいと思うんですけども。まず、スケートを始めたきっかけというのは?
町田:神奈川県川崎市で生まれまして。
——あ、神奈川なん?
町田:はい。すぐに千葉県の松戸市に引っ越しました。で、3歳のころに松戸に住んでいて、家の近くに当時ダイエーのリンクがあって、そのダイエーはスーパーとしてよく買い物に行ってたんですけれども。
——そうなんや(笑)
町田:そうなんです。買い物に行っていて、その窓からスケート場が見えて、みんな楽しそうに滑っているのを親が見たのか「じゃあ自分の息子をスケート教室に入れてみよう」って思ったのがきっかけです。そのダイエーのリンクの、ほんとに小さい子たちが通うようなスケート教室に通い始めたのが、そもそも最初です。
——最初に滑ったときはどうやったの?楽しかったの?
町田:いや、ほとんど覚えてないんですけど。でも割と滑れたらしいです。最初は氷の上でフラフープとかボールとかを使って遊びながらスケートを学ぶみたいな教室だったので、最初のほうは楽しくやっていたと思います。
——どんどんハマっていったの?
町田:小学校4年生のころまで千葉と川越、江戸川のリンクで練習をしていて。その後広島県に引っ越すんですけれども、広島県にはスケートリンクが通年では無いので。冬場だけ広島ビッグウェーブというリンクがあったんですけれども夏場は無かったので、岡山や鳥取、山口、福岡に行ったりという感じで移動しながらスケートをしていましたね。
——そうなんや
町田:はい。で、そうこうしている間に、どんどん競技者としてのレールに乗っていくみたいな感じですかね。
——あれ?「大ちゃんに憧れて」みたいな話は?
町田:そうですね、高校時代は。岡山国際スケートリンクという場所で練習していたんですけれども、そこに高橋さんも来られていたので、よく高橋さんの滑りからいろいろ学ばせていただきました。
——話したりとかしたの?大ちゃんと
町田:それが一切プライベートでは…全くないんですよね、小さいときから。
——そうなんや(笑)。へぇ~なんか意外やなあ。でも関大でも一緒やったよね?
町田:一切会ったことないですね。
——マジで?!(笑)
町田:もちろん関西大学のイベントでは会いますけど、プライベートでは一切お会いしたことはないですね。
——スケート始めて、移住もして、スケートのどんなところに魅力を感じたの?
町田:氷の上では何でも表現できるっていうところに魅了されましたね。小さいころからずっと人見知りでシャイだったので、人前に出てしゃべることがとても苦手だったし、自己表現っていうのができない人間だったんですけど、小さいころから氷の上ではどんなことでも表現できたんですよね。そこに魅了されました。
——じゃあそのときから表現者やったんや
町田:人前でしゃべったりとかするときにすごく恥ずかしいなっていう思いが常にあったんですけど、小・中・高と。でも氷の上では恥ずかしい思いもなく何でも自己表現ができる自分がいて、それがすごく自然で。
——じゃあ子供のころって、人見知り以外のどんな感じの子やったの?
町田:基本はあんまりしゃべらなかったと思います。本も読んでたし、ゲームもしてましたし。
——ゲームもするんや!
町田:してました。今はしてないですけど。ロールプレイングゲームとか、車好きなのでレーシングゲームとか。
——車好きなんや!へえ~知らんかった。免許持ってんの?
町田:免許持ってます。
——車を運転してるイメージがない。運転できるんや。何の車が好きなん?
町田:僕はイギリス車が好きなんですよ。例えばアストンマーティンとか。わからないですか?
——アストンマーティン?007の?
町田:あ、そうです。
——イギリスの車って他に何があるの?
町田:ロールスロイスとかベントレーとかマクラーレンとか。イギリスの車ってのはこう、エクステリア(外装)もすごく素晴らしいんですけど、インテリア(内装)もすごく凝っていて、調和が取れていて美しいなあと思うんですよね。
ノービス時代の思い出&交友関係
——ノービス時代に何か思い出とかある?
町田:私は万年4位でした、どんな大会も。
——万年4位?1位、2位、3位は誰?
町田:え~、例えば小塚(崇彦)さんとか、ご存知かどうかわからないんですけど森永浩介さんとか。——知ってるよ!
町田:もちろんKENJI先生は知ってらっしゃるでしょうけど。層が厚い時代だったので。
——あともう1人は誰やったん?
町田:吉田行宏さんとか。
——おお、ユッキー?
町田:はい。で、ずっと4位でした。ノービスB、A、ず~っと4位でした。
——悔しいなあ(笑)
町田:悔しいんですよ~。
——じゃ、同期は誰なの?
町田:同期はそれこそ吉田行宏さんだとか、福岡ですと森永浩介さんとか、あと郡山智之さんなんかが。
——あ、智くんとも
町田:あんまりいないんですよ、同世代って。その3人ですね、パッと思い浮かぶのは。
——じゃあスケートで仲いい人はいるの?
町田:ええと、かつては、吉田行宏さんとは結構プライベートでも共に行動することが多かったんですけど。
——ちょっと待って!「かつて」って言うとさ、何かあったんかなって思ってまうやん?駅前で殴り合ったみたいな(笑)
町田:それはないです(笑)。引退してそれぞれが社会に出ていくと、なかなか会う機会もめっきり減ってしまって「ああそうか~」と思って、こう、うーん、「今どうしてるんだろう」とか。
——1回メールしてみれば?「何してんの?」って。だってあの子東京にいるでしょ?東京じゃないんかな
町田:東京にいらっしゃいます。
——「どうしてんの?」「引退したよ~」ってメールしたらいいんちゃう?
町田:そうですね、確かに。今度してみましょうか(笑)。いやほんと、連絡もしてないんですよ、スケーターの方とは。連絡先もほとんど知らないんですよね。
——訊けばええやん!「連絡先教えてよ」って(笑)
町田:それ、言えますか?
——言う!
町田:まあKENJI先生はそりゃ仕事で連絡することもあるでしょうから。
——いや、プライベートでもあるよ(笑)。あ、でも意外と俺、人見知りやからね
町田:ああ、そうですか。
——ま、別にどうでもいいって感じやけど(笑)。じゃあさ、海外で仲いい選手とかいるの?
町田:ずっと長いことロサンゼルスのアイスキャッスルに拠点を置いていたことがありますので、アダム・リッポンさんとか、長洲未来さんとか、あと今活躍してらっしゃるネイサン・チェンさんだったりとかっていう方々とは、よく練習の間とかに話をしたりはしていましたけど。
——長洲未来ちゃんとは何しゃべるん?
町田:「何してんの?」とか「普段どうしてんの?」とか。
——向こうから?
町田:向こうからもですし、話してましたね。
——「何してんの?」って言われて、何て答えんの?
町田:「いや、特にないよ」って(笑)。
——会話終わるやん(笑)。で、町田くんからも「何してんの?」って訊き直すの?
町田:ですね。あと「調子どう?」とか。結構お互い苦しい時期を歩んだと思いますから、それを経て長洲さんもほんとに素晴らしいパフォーマンスを発揮していたので、それは嬉しく見ていました。
——じゃああれだ、久々に会っても、そんな言葉多くしなくてもわかるよっていう感じで。「どう?」みたいな
町田:そうですね。だから、あんまりしゃべらないんですよ(笑)。
——ああ、そっかそっか、なるほどね(笑)
J SPORTS 編集部
12月に町田樹のエピソードを放送!オンデマンド配信も!
【町田樹 前編】12月11日(火)午後10:00 -
【町田樹 後編】12月18日(火)午後10:00 -
フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋
フィギュアスケートを”文化”にまで昇華したいと真摯に語る町田さんは、宮本さんからの「フィギュアスケーターにとって最も必要な素質は?」という質問に対して、「技術を磨き続けることのできる職人気質、あくなき探求心とともに、表現力を磨くための知的感性、そして一発勝負に臨む勝負師としての心構え」と答え、宮本さんと熱いフィギュアスケート論を交わします。
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