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ここ2シーズンほぼ負け知らずのエフゲーニャ・メドヴェージェワ。2001年のミシェル・クワン以来16年ぶりの大会連覇を果たして「絶対女王」になるかが期待された今年の世界選手権女子シングル。SP(ショートプログラム)では10人が65点を超え、その中の4人は70点を超えるなど、好演技が続出。FSでは上位10名の内、なんと6人もPB(パーソナルベスト)を更新。注目のメドヴェージェワはまたも自身の持つ世界記録を大幅に塗り替え、会場を大いに沸かせた。
1位 エフゲーニャ・メドヴェージェワ/233.41(SP:79.01/1位、FS:154.40/1位)
エフゲーニャ・メドヴェージェワは「絶対女王」になりきった。SP、FSともに、難しいエレメントを高い質で完成させ、感情溢れる表現で観客を引き込み、右に出るものがない演技を見せた。採点表を見てみると、ジャンプのGOE(出来栄え点)は+2以上がほとんど、スピン・ステップも全てレベル4を取り、PCS(演技構成点)も9点台がずらりと並ぶ。その結果、SPは自己ベストに僅か0.2点届かなかったが、FSは自身が持つ世界記録を3.6点も上げ、トータルスコアで世界記録を更新した。試合後「6分間練習で少し緊張していましたが、自分に“落ち着くんだ!”と言い聞かせて、本番では落ち着いて演技できました。自分ができることを出し切れて、ほっとしました」と語ったメドヴェージェワ。圧倒的な勝負強さを示した。平昌まであと一年もない。金メダリスト最有力候補として、「絶対女王」への期待がますます高まりそうだ。
2位 ケイトリン・オズモンド/218.13(SP:75.98/2位、FS:142.15/2位)
銀メダリストを獲得したのは、ようやく国際大会で実力を発揮できたケイトリン・オズモンド。SPでは高いジャンプでGOEを稼ぎ、スピン・ステップも全部レベル4を取った。今シーズン、国際試合でミスが続出。不安材料が残るFSではプレッシャーに負けず、後半の3ループがダブルになった以外は全部のジャンプを着氷させ、しかも大半がプラスの加点となった。また若手選手と違いSP・FSともに成熟した表現力で大人の女性の魅力を見せ、メドヴェージェワに次ぐ演技構成点を稼いだ。結果、SP・FSともにPBを更新。2009年のジョアニー・ロシェット以来8年ぶりのカナダ女子のメダル獲得を実現した。試合後インタビューに応じたオズモンドは、「表彰台に登り、カナダの国旗が揚がるのを見て、なんて信じられないんだと感じました」とコメントし、感極まったようだ。
3位 ゲイブリエル・デイルマン/213.52(SP:72.19/3位、FS:141.33/3位)
同じくカナダ代表のゲイブリエル・デイルマンは、四大陸選手権で銀メダルを獲得した勢いに乗った。SPではノーミスの演技にまとめ、PBに近い高得点を叩き出した。FSではレベルの取りこぼしがあったが、ジャンプは着氷乱れが一つあった以外、全て+1以上のGOEを出した。結果、FS及びトータルスコアでPBを更新し総合3位につけ、世界選手権史上初のカナダ勢2名が表彰台に上ることになった。プレスカンファレンスで、デイルマンは銅メダルを首にかけながら「今までずっと、世界選手権のメダリストになることを夢見て、そのために頑張ってきた。今年はやっと自分のことを信じる事ができ、愛と心を込めたこの演技ができた」と語った。
4位 カレン・チェン/199.29(SP:69.98/5位、FS:129.31/6位)
全米女王のカレン・チェンは、世界選手権初出場でありながらも、大会の緊張感に圧倒されなかった。SPではノーミスの演技でPBを更新。FSでは後半の3ルッツで転倒し、2アクセルの着氷も乱れたが、他のエレメンツをしっかりと完成させ、またPBを更新した。メダリストたちと比べて、まだジャンプの質や表現力において足りないものが見られるが、激戦で総合4位に入賞し、可能性を十分示した。
5位 三原舞依/197.88(SP:59.59/15位、FS:138.29/4位)
四大陸女王として今大会に臨んだ三原舞依は、初出場と枠取りのプレッシャーによるものか、SPでは3フリップをダブルにパンクしてしまった。ルールでは、アクセル以外のソロジャンプは3回転以上をまわらなければならないので、このジャンプの得点がゼロとなり、SPの結果はまさかの15位となった。重圧の中で迎えたFSでは思い切って滑り、全てのエレメンツにプラスのGOEをもらうなど、会心の演技ができた。PBとなる高得点でSPの失敗から巻き返し、日本勢最上位の総合5位につけた。このような大会を経験した三原の「シンデレラ」物語は、これからも続くであろう。
他にも6位にイタリアの元世界女王カロリーナ・コストナー、7位にアメリカのアシュリー・ワグナー、8位にロシアのマリア・ソツコワ、9位にカザフスタンのエリザベット・トゥルシンバエワ、10位に韓国のダビン・チェが入賞した。トップ10にこのように多様な国籍が見られたのは、近年の女子シングルにとっては実に珍しい。残念ながら、日本勢の樋口新葉と本郷理華は実力を発揮しきれず最高の演技をすることはできなかった。それぞれ11位と16位につけ、オリンピック女子シングルでの日本勢の出場枠は2枠となった。グランプリシリーズのメダリストでさえ10位に入ることができなったことは、今大会のレベルの高さの証明だと言えよう。
J SPORTS 編集部
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