ラグビー愛好日記

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このブログについて

プロフィール写真【村上晃一】
1965年京都市生まれ。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
ラグビーの現役時代のポジションは、CTB(センター)、FB(フルバック)。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者、ラグビージャーナリストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は98年より継続中。1999年から2019年の6回のラグビーワールドカップでコメンテーターを務めた。著書に「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)、「空飛ぶウイング」(洋泉社)、「ハルのゆく道」(道友社)、「ラグビーが教えてくれること」、「ノーサイド 勝敗の先にあるもの」(あかね書房)などがある。

2017年01月29日

サントリーサンゴリアス、我慢強く二冠に輝く

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
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2017年1月29日、第54回日本ラグビーフットボール選手権大会の決勝戦が行われ、サントリーサンゴリアスが、15-10でパナソニックワイルドナイツを下し、4大会ぶり7度目の優勝を飾った。僕はJSPORTSで小林深緑郎さんと解説させてもらった。トライは、パナソニックLOヒーナン ダニエルがキックチャージからインゴールへ走り込んだものだけで、サントリーはSO小野晃征の5PGで競り勝った。トライが少ない試合は面白くなく感じるものだが、きょうの凄まじい肉弾戦には時間の経過が早く感じたし、多くの人が同じような気持ちだった気がする。

序盤はパナソニックPR稲垣啓太がジャッカルで相手反則を誘ってサントリーの攻撃を寸断し、26分、SO山沢拓也が自らのショートパントを獲って大きく前進し、パナソニックが攻め込んだが、このピンチをサントリーがしのいだ。34分にはサントリーCTB村田大志が素早く前に出るタックルで、パナソニックのチャンスの芽を摘んだかと思えば、直後にサントリーWTB江見翔太のライン参加に、ヒーナンが反応してビッグタックルを決めるなど緊迫感ある攻防であっという間にハーフタイムを迎えた。

ハーフタイム。サントリーの沢木敬介監督は「まだ何もしていない」と話し、パナソニックのロビー・ディーンズ監督は「勝負を分けるポイントでの、リアクションが勝負を分ける」とコメント。

後半開始早々、パナソニックが攻め込みWTB福岡堅樹がボールを持ったが、すぐにサントリーWTB中靏隆彰が後ろからタックル。パナソニックがヒーナンのトライで9-10と逆転した直後には、パナソニックのデービッド・ポーコックがボールを奪おうとジャッカルした瞬間にサントリーのジョージ・スミスがポーコックを押し込んでボールを守るシーンがあった。オーストラリア代表FW第三列の戦いは、それだけで入場料分以上の価値があった気がする。20分、ポーコックがボールに絡んだが、すでにラックになっていたという判定でペナルティー。このPGを小野が決めて、12-10と逆転。小野は25分にもPGを追加し、15-10とする。そして、サントリーの前キャプテンであるLO真壁伸弥がボールを持ってヒーナンに激しくコンタクト。これでヒーナンが負傷退場してしまう。LO同士のフィジカルバトルを真壁が制したのも勝因の一つだろう。

これでサントリーが波に乗るかと思われたが、パナソニックもポーコック、堀江翔太らがターンオーバーして追加点を許さず、試合は最後までもつれた。結局、その後のパナソニックの攻撃を我慢強くディフェンスしたサントリーが勝利。歓喜の雄叫びを上げた。

沢木敬介監督は次のようにコメントした。「素晴らしいパナソニックのディフェンスに対して、想定していたアタックができなかったのですが、これもラグビーです。上手くいかない時にどうするか、選手同士で良いコミュニケーションをとっていたと思います。よく我慢しました」。流キャプテンはパナソニックの切り返しのアタック対策について「リアクションを意識しました」と話し、全員が倒れてもすぐに起きあがり、次のディフェンスに向かったことを評価していた。トップリーグ15戦全勝優勝、そして日本選手権制覇と、今季のサントリーは負けなしでシーズンを駆け抜けたことになる。昨季のトップリーグ9位からの見事な復活劇だった。沢木監督の手腕は高く評価されるべきだろう。

■第54回日本選手権大会結果
東京・秩父宮ラグビー場
サントリーサンゴリアス○15-10●パナソニック ワイルドナイツ(前半3-3)
優勝:サントリーサンゴリアス(4大会ぶり7回目)

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