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ラグビー コラム 2026年10月19日

JRFU創立100周年 × J SPORTS創立30周年 特別対談

ラグビーニュース by 村上 晃一
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公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(JRFU)は創立100周年を迎えた。
10月24日(土)には日本ラグビーの聖地である秩父宮ラグビー場にて「リポビタンDチャレンジカップ2026」のフィジー代表戦(男子)およびウェールズ代表戦(女子)が100周年記念試合として実施される。
奇しくも日本ラグビーと伴走し、さまざまなカテゴリーの試合を中継してきた株式会社ジェイ・スポーツ(以下、J SPORTS)も時を同じくして30周年という節目の年を迎えた。この機会にJRFUとJ SPORTSのリーダーによる特別対談が実現。
土田雅人会長と、外崎創代表取締役社長が、ラグビーの価値、スポーツとしての魅力、そして、日本ラグビーの未来を語り合った。
 

――100年という日本ラグビーの歩みを振り返った時、どんな思いがあるでしょうか。

土田 100周年を機にいろいろな出来事を振り返りました。
そのなかで感じたのは大学ラグビーが日本ラグビーを支えてきたということです。日本のラグビーは慶應義塾大学から始まりました。定期戦主体だったものから全国大学選手権ができ、ファンの支持を集めてきた。
今でも高校生の目標として、大学に進学し、社会人チームに行くという流れがある。その社会人ラグビーも脈々と歴史を繋いできました。大学からリーグワンに行く選手はプロではなく企業所属の選手が多い。
大学と企業文化を残す社会人チームがその国のラグビーを引っ張る形は世界に例がなく、今後も大事にしなくてはいけないところだと感じています。

 

――外崎さんはいつ頃からラグビーをご覧になっているのですか。

外崎 私がよく見るようになったのは、2000年初頭です。私は早稲田大学の卒業生ですが、当時、早明戦、早慶戦を見る機会があり、ラグビーの魅力に惹かれて秩父宮ラグビー場に通いました。
攻守の入れ替わりが激しく、その中で15人が役割分担をしながらひとつの目標に向かっていくところが魅力的でした。仲間のために頑張り、何かあれば仲間が助けてくれる。いろいろな特徴あるポジションがあるのも面白いです。

 

――土田さんは個人的に印象に残る出来事はありますか。

土田 僕が同志社大学の学生だった頃は、大学ラグビーの全盛期でした。大学選手権で優勝すると、1月15日に国立競技場で社会人の優勝チームと戦うことができました。
1982年度から同志社は3年連続で大学選手権を制し、社会人王者の新日鐵釜石を倒すことを目標にしていました。6万人の大観衆の中でプレーできたのは、良い思い出です。
ただ、日本代表はなかなか世界で勝てませんでした。
1995年のラグビーワールドカップ(RWC)ではニュージーランド代表に17対145で大敗しています。そんな流れを断ち切るために、森喜朗先生を中心に2003年からRWC誘致が始まりました。
当初は2011年大会開催を目指しましたが、結局、2019年の大会招致に成功します。この招致があったことによって、皆が本気で取り組み、2015年には南アフリカ代表から歴史的勝利を挙げることができ、2019年の成功に繋がったのです。

――ほとんどの会場が満員でしたね。外崎さんは、2019年大会はご覧になりましたか。

外崎 テレビ観戦ではありますが、日本代表戦は全てリアルタイムで観ました。全て印象に残っていますし、福岡堅樹選手は本当に速かったです。
2015年大会では負けたスコットランド代表に勝って、ベスト8になったことも感動しました。

 

――2019年大会が遺したものは、何だったと思われますか。

土田 日本の観客席は、かつては腕組みしながら黙って試合を見ている人が多かった。
ところが、2019年大会は「にわかファン」と呼ばれるファンの人たちが生まれて、日本代表のジャージーを着用して家族連れでスタジアムを訪れて楽しんでいる。
ファン層もファンの意識も明らかに変わりました。
日本代表に外国人選手がいることにも批判がありましたが、2019年を機に多様性も当たり前のように認められるようになった。
ONE TEAMという言葉が残り、ラグビーの多様性、自己犠牲の精神が浸透し、ラグビーを見る目が変わった。これは我々の財産です。

外崎 2015年大会で日本代表が南アフリカ代表に勝利した時、J SPORTSでの放送を見て感動しましたが、これはラグビーが好きな人は感動するけれど、一般的にはどうなのだろうと思っていました。
しかし、一般のニュース番組でも取り上げられているのに気付き、ラグビーの認知度の変化を感じました。2019年は更に取り扱い方のレベルが違っていましたよね。

――日本代表が勝つことは、すべてを活性化するのですね。

土田 いま目指しているのは、満員のスタジアムで皆さんに応援してもらうことです。満員のスタジアムでテレビ中継をしてもらって、選手たちがファンの声援を聞いて勝っていく。
それが2019年大会のアイルランド代表戦であり、スコットランド代表戦の勝利なのです。満員の観客によって何かが起こるものなのです。
今、それを愚直にやっているところです。今年もイタリア代表、フィジー代表にほぼ満員のスタンドで勝つことができました。

――J SPORTSの30年についてお話を聞きたいと思います。ラグビーにずっと寄り添ってこられましたね。

外崎 1996年に会社を設立し、本格放送を始めてからもずっとラグビーにコミットしてきました。社内にはラグビーに熱い想いを持った社員がたくさんおります。
土田会長が、大学ラグビーの大切さをお話しされましたが、J SPORTSは大学だけではなく、高校生も含め、さまざまなカテゴリーを放送しています。
ラグビーの裾野を広げていくことが我々の使命の一つだと思っているからです。

 

――J SPORTSによってたくさんの試合が映像で見られるようになったのは、日本ラグビーの歴史の中でも大きな出来事でしたね。

土田 大きいです。女子ラグビーも放送していただき、全国高校大会も全試合放送していただいています。スポーツ全般に地上波での放送が少なくなってきた中で、さまざまな年代を中継してくださることも影響が大きいと思います。
ラグビーは、ルールが難しいところがあるので、リプレーがあったほうが分かりやすいですし、映像判定の仕組みもサポートしていただいています。
日本の映像は世界でも評価が高い。そこにはJ SPORTSの皆さんの蓄積した経験やノウハウがたくさん詰まっていると思います。

――現場のカメラマンの方々も経験豊富なので、いま何が良いプレーだったのかを理解して、その選手を映すことができますよね。

外崎 それは我々の強みだと思っています。視聴者の方から、「さすがJ SPORTSは分かっているね」という言葉をいただくこともあります。

土田 解説も面白いですよ。選手の詳しい情報もあり、そこまで必要かと思うくらい、ディテールを話すこともある(笑)。

外崎 J SPORTSだからこそできることは何だろう、と考えた時に、我々が撮って、我々が解説するからできることを表現していくことが大事だと思っています。
ラグビーには、選手だけではなく、レフリーもいる、その他の関係者もいる。それぞれにストーリーがある。
画面を通して、そんな魅力を伝えたい。ラグビーは、それをもっとも伝えられるスポーツだという気がしています。

土田 最近、企業経営者とよくお会いするのですが、ラグビーの試合をよく見ている方がすごく多いです。ラグビーが今より更に盛んな時に見ていた人たちが、60歳代で経営者になっている。
ラグビーの多様性、自己犠牲といったものが企業の経営に通じると言ってくれている。これも日本ラグビーの財産だと思います。
J SPORTSが放送したものを見て、ラグビーファンで居続けてくれて、ラグビーから経営のヒントをもらっている。そういうことが非常に大事だと思っています。

 

――J SPORTSは「一生、ラグビーシーズン」というスローガンを打ち出されるそうですね。

外崎 社員から出てきたアイデアです。プレーヤーや元プレーヤー、運営関係者、ファンがずっとラグビーに関わっていけるように、そして、J SPORTSがメディアの中で一番のラグビー界の伴走者であり続ける、という思いが込められています。

――JRFUは2035年のRWCの日本招致を表明されています。再びRWCを招致することには、どんな思いがありますか。

土田 日本は平和だし、治安が良く、人が優しく、世界に誇れる国だと思っています。
RWCを呼び、世界中の人に日本を見てもらいたい。そして、日本の人々がRWCを見て、支えることによって元気になってもらう。そういう意味で呼びたいと思っていますし、ノーサイド精神のような、終わったら敵味方関係なく握手して交流する。
レフリーへのリスペクトも含めて、ラグビーの良いところを発信していきたいですね。

――ノーサイドの精神、そしてラグビー憲章のコアバリューである「品位、情熱、結束、規律、尊重」という言葉については、外崎さんはどう感じていますか。

外崎 企業経営そのものだと思います。皆で一つの目標に向かって、夢を語りながらできるような会社にするために何が必要かといえば、まさにこの5つの言葉です。
それが、ラグビーの中に凝縮されているということです。
ラグビーのレフリーは他のスポーツと違いますよね。裁くというよりも、試合を一緒に作っている。そして、ノーサイドになると皆が一つになる。思いきり力を出し合った者同士だからこそ称え合えるのだと思います。

――JRFUとしては、次の100年、どんなことを目指していきますか。

土田 ラグビーだけではなく、スポーツをする人、見る人を増やしていくことですね。その中で最後にラグビーを選んでくれたら良いと思っています。
ニュージーランドのラグビー協会が素晴らしいことを言っています。
同国にもたくさんのスポーツがありますが、「最後にラグビーを選んでくれるのが一番良い」ということなのです。人間性の素晴らしい人がニュージーランド代表を目指してくれたら良い。そういう人をどれくらい作れるのかが目標だと言っている。
日本には今、10万人ほどラグビーの競技人口がいます。これを増やし、他のスポーツを追い越せという目標を立てることもできますが、それよりも、素晴らしい人間性の人に最後にラグビーを選んでもらって、それを応援してもらえるように繋げていきたい。
それが私個人の思いでもあるし、そのためにもう一度RWCを招致し、この素晴らしさを繋いでいきたいのです。

 

――J SPORTSとしては、どんな未来を描いていますか。

外崎 我々も次の30年ということを考えています。10月1日に新たな企業理念を発表しました。
「わたしたちは、スポーツを通して、人々の生活を豊かにします。わたしたちは、スポーツに宿るストーリーを最大限に引き出し、その価値を人々に届けます。わたしたちは、ステークホルダーの皆さまと共に、悩み、考え、挑戦し、スポーツ市場の成長に貢献します」。
以上のようなものですが、スポーツには、選手だけでなく、審判、指導者、運営者など、一人ひとりのストーリーがあります。そこには表からは見えにくい努力や葛藤、挫折があり、その先には達成感や喜びがあります。
私たちは、そうした人々の歩みや挑戦、スポーツそのものの成長の過程にあるストーリーを最大限に引き出し、映像をはじめとするさまざまな手段を通じて、多くの人々に届けていきたいと考えています。
また、社員一人ひとりが理念や価値観を自分の仕事と結び付け、社内外の仲間の挑戦を支えることが大切です。
「One for All, All for One」の精神。これを胸に皆が生き生きと働き、スポーツの未来や夢を語れる会社へ進化していきたいと思っています。

 
この対談は、日本ラグビーの聖地である秩父宮ラグビー場で行われた。土田会長もJ SPORTSでさまざまな試合を見ているということもあって和やかな対談となった。
土田会長は「我々協会も、J SPORTSさんに30年も放送していただいていることを当たり前に思わずにいたいです」と感謝の念を伝えた。
JRFUは男女のRWC招致に名乗りをあげている。2035年、39年のいずれかに男子のRWCが、それぞれの2年後に女子のRWCが日本で行われる可能性がある。
JRFUとJ SPORTSが協力して、再び日本をラグビーで元気にする日が来ることを楽しみに待ちたい。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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