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【ハイライト動画あり】残り20分まで1点差。東洋大の奮闘に苦しめられるも、早稲田大が終盤に振り切る。関東大学春季大会レビュー
ラグビーレポート by 直江 光信【ハイライト】早稲田大学 vs. 東洋大学|ラグビー関東大学春季交流大会2023 Aグループ
しかし東洋大もここで気持ちを切ることなく反撃に転じ、51分に出足鋭いディフェンスから敵陣レッドゾーンで相手の不用意なパスをWTB杉本海斗がカットしてトライ。直後の53分にも早稲田大のエラーに乗じてこぼれ球を拾ったCTBモリース・マークスが50メートル近くを独走し、中央に飛び込む。杉本のコンバージョン成功で26-27と1点差まで詰め寄った。
この日もっとも緊迫した状況で迎える、残り20分の勝負どころ。追い上げる東洋大が勢いに乗るかに思われた場面だったが、消耗で足が止まり始めるこの時間帯に底力を発揮したのは、ホストチームの早稲田大だった。
ターニングポイントとなるプレーが生まれたのは60分だ。敵陣30メートル付近でマイボールスクラムを得ると、左オープン展開でテンポよく巡目にラックを続けて22メートル線内へ前進。振り戻しのアタックからLO栗田文介が力強く防御網を突き破り、左中間になだれ込む。
これでようやくペースを握った早稲田大は、69分にラインアウトモールを押し切ってHO佐藤健次が左中間にグラウンディング。2トライ2ゴールでも届かない15点差までリードを広げて勝負を決めると、ロスタイムにも辛抱強くアタックを継続してHO安恒直人がチーム8本目のトライを奪う。最終的にはスコアを48-26まで伸ばして、フルタイムを迎えた。
東洋大の果敢なチャレンジにあおられながらも、終盤に突き放し意地を見せた早稲田大。ただ大一番となった前週の明治大戦の反動からか試合を通してタックルミスやイージーなエラーが目立ち、最後までリズムに乗り切れない内容だった。残る春季大会は2試合で、6月25日の最終戦では昨季大学選手権決勝で大敗を喫した帝京大に対峙する(@熊谷ラグビー場、13時30分キックオフ)。この経験を糧に、春シーズンの集大成となる戦いに向けどのようにチームを仕上げてくるかが注目される。
一方の東洋大は3連敗となったものの、ビッグスコアで完敗を喫した前2戦から大幅に良化したことを感じさせた。個々のひたむきなタックルで再三早稲田大を後退させ、真っ向勝負を挑んで4本のトライを奪ったことは、大幅にレギュラーが入れ替わったチームにとって確かな自信になるはずだ。この一戦で見せたチャレンジスピリットと一体感ある攻守は、今季も大学シーンを盛り上げる存在になり得ることを示すものだった。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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