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かつて「3対211の男」がトップリーグで存在を示した。もういっぺん。3対211である。
古賀龍二。覚えておられるか。かの「あなごステップ」の背番号15である。日本代表の名WTB、小野澤宏時の「うなぎステップ」にあやかる。同じようにスルスルと防御の網をよくすり抜けた。うなぎ(鰻)でなく、あなご(穴子)。こちらはいささか庶民的だ。
佐賀東高校から福岡工業大学へ進み、2015年度限りでの引退までトップリーグに114試合も出場した。そして、ここが重要なのだが所属クラブはサニックス!福岡は宗像の忘れがたきチームで16年間、読みが深く味わいも深いプレーを続けた。
3対211とは高校時代の佐賀県大会決勝のスコアである。もちろん相手は佐賀工業高校。もちろん負けた。それにしても30分ハーフでこのスコア。13年前に本人が話した。
「トライされた後にインゴールで円陣を組む時間もありませんでした。佐賀工には200点のノルマがあるのか難しい位置だとノーゴールと宣告して、すぐに始まる」
福岡工業大学へは学業の推薦で入った。ラグビー部へ。なんと、その年度からスポーツ推薦が導入されて、一学年下に佐賀工業の選手が入部してきたのには苦笑した。そんな無名の青年をサニックスは迎え入れ主軸へと育てた。
かつて「水道料金滞納者の栓を閉める仕事をしていた男」がトップリーグで存在を示した。
濱里周作。おもにCTBが持ち場だった。着実にゲインを切り、タックルの的を外さない。あたりまえの攻守をもれなく遂行する。監督にも元オールブラックスにも臆せずに接して申すべきは申した。万事に動じるところがない。所属はサニックス!
沖縄の名護高校の出身である。能力を認められたが大学ラグビーの道を選ばなかった。学業成績は優秀らしい。なのに、どうして、と、のちに聞くと話した。「勉強は得意だった。だけど、これ以上、勉強するのは嫌でした」。これ、名言ではあるまいか。
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